ドラマ撮影中の自転車事故で、首から下が動かせなくなってしまった滝川英治さん。この4月から自転車に対する交通ルールが厳格化されるなか、「事故の当事者」としてメッセージを発信し続けています。「ヘルメットがなければ、僕は今ここにいません」。新たなルールに関しては賛否両論はあるけれど、事故に遭いながらも、命をつないだ実態をまじえて話してくれました。

ヘルメットがなければ自転車事故で死んでいたかも

── 自転車の交通ルールは年々厳格化しています。ヘルメットの着用も3年前に努力義務化されました。ドラマの撮影中に自転車で転倒事故を起こし、脊髄を損傷した滝川さんは、当事者としてどう思われますか?

 

滝川さん:ヘルメット着用の重要性を、声を大にして訴えたいです。僕はレース用自転車に乗って、猛スピードで坂道を下るシーンの撮影中に転倒し、頭から地面に叩きつけられました。もしヘルメットを着用していなければ、頭部は守られていなかったはず。亡くなっていたり、脳機能に障がいが残った可能性もあるでしょう。

 

ただ、ヘルメットで頭部は守られたけれど、事故で脊髄を損傷して、首から下は動かなくなりました。障がいが残り、車いす生活に。誰もが気軽に乗れる自転車ですが、ひとたび事故が起きると大変なことになるということも、改めて知って欲しいです。

 

車いすや装具などが「カッコいい」ものになれば…という滝川英治さん。使用している歩行補助具には『弱虫ペダル』の箱根学園の色味を取り入れた

── 今年4月から自転車の交通違反に青切符制度が導入され、取り締まりが厳格化されました。賛否両論あるようですが、自転車事故の当事者としてどう感じていますか?

 

滝川さん:反対派の気持ちもわかりますよ。僕自身、事故に遭うまではイヤホンをして音楽を聴きながら自転車に乗って、何の問題もなく過ごしていたわけですから。

 

でも、僕はルールや取り締まりの厳格化に肯定的です。「いつも通り大丈夫だろう」と思っていても、僕のように一瞬の油断で人生が激変することもある。その怖さを知った今、事故を未然に防ぐ仕組みは必要だと痛感します。人間は、失って初めて気づく生き物ですが、それでは遅すぎるんです。

 

── 自転車事故の死亡率は、ヘルメットを着用しない場合は1.7倍に増えるという警察庁のデータがあります。にもかかわらずヘルメットの着用率は全国平均で約2割。もっと着用率を増やしたいところですね。

 

滝川さん:「カッコ悪い」という理由で着用を避ける人もいるようなので、ファッションとして楽しめるデザイン性の高いヘルメットが増えればいいなと思っています。車いすも同じです。クリエイティブの力で、制約や不便さを感じる装備を「憧れ」に変える…僕はそんな文化を作っていきたいんです。