事故をムダにしない「絵本に人生を投影して」

── 新たなチャレンジはどのようなものでしたか。

 

滝川さん:口にペンをくわえて、タブレットで絵を描き始めました。昔からジミー大西さんの自由で色彩豊かな作風が好きで、自分も個性を大事にしたいと思いました。近所のデザイン教室で基本は教わりましたが、それ以外はあえて人から習いすぎず、自分の個性を伸ばすことを意識しています。

 

とくに2021年に出した絵本『ボッチャの大きなりんごの木』は大きな挑戦でした。自転車事故で車いす生活になった自分の人生を投影した内容で、自分ならではのメッセージを込めました。今もキャラクターデザインやイラストを通じて、自分の中から抽出したものを世に出すことにやりがいを感じています。

 

滝川英治
「周囲の人のおかげで、希望をなくさずにすんだ」と話す滝川英治さん

── パラスポーツに関する情報発信もなさっていますね。

 

滝川さん:パラスポーツを紹介する番組のMCを務めたり、車いすラグビーの練習を見に行ったり、脊髄損傷患者の団体に参加したりして、勉強しながら自分だからこそできる発信を模索しています。自分の実体験を講演会で話すことも、大切な仕事のひとつです。当事者が語る言葉の重みは、やはり特別なものがある。それを伝えることが、今の僕の役割だと思っています。

 

取材・文:鷺島鈴香 写真:滝川英治、えりオフィス