日本的な結婚は苦手「一夫多妻いいかも?」
── 3年間、パートナーとしての信用を積み上げていく時間でもあったのですね。
北山さん:当時、彼のメンタルが少し参っていた時期でした。彼はすごくお人よしで、信用していた人に騙されたり、大金を取られたりしたことがあったんです。そうした過去の話を一つひとつ聞きながら、心のケアに努めました。騙された経験があるからこそ、彼のなかに「また裏切られるんじゃないか?」という怖さがあったと思うんです。だから、私としては「裏切らない人間」と、わかってもらう必要がありました。
── いっぽうで、当時サンコンさんには、すでにギニアと日本にそれぞれ奥さまがいらっしゃいました。ギニアでは一夫多妻制が認められているとはいえ、日本の感覚で言えば、家庭のある方とお付き合いすることは「不倫」になってしまいます。相手の文化とはいえ、抵抗やためらいはなかったのでしょうか。
北山さん:私自身もバツ2ですし、結婚に対する憧れはとうに消えていました。若い頃は、ふつうの結婚をして子どもを産みたいと思っていたので、一夫多妻は選ばなかったかもしれません。でも、いろんな人生経験を経て、結婚制度そのものに疑問を持つようになっていて。
籍を入れて、相手を「私のもの」「あなたのもの」という所有される感覚がどうしても苦手なんです。独身で自由に動いているときはものすごいエネルギーが出せるのに、妻という役割に入ったとたん、息苦しくなってしまう。関係が型に入ると、自分のなかのパートナーへの熱がしぼんでしまうんだと思います。

── 型にはめられると、自分らしさやエネルギーがしぼんでしまう。そうした感覚は、昔からあったのでしょうか。
北山さん:父が海外赴任をしていた関係で子どもの頃から多様な価値観に触れて育ったため、日本の「こうあるべき」という同調圧力にずっと生きづらさを感じてきました。中学生の頃からは自我がはっきり出てきましたが、日本の社会では同じように振舞うことが求められる。「つまらないな」とずっと感じていました。
大人になってからも、みんなで連れだってランチをして夫や子どもの話をしたり、昔の話で盛り上がるような空気が苦手で。私は子育て話や過去の話より、もっと「これから何をしようか」「未来をどう生きていくか」という話をしているときのほうがワクワクするし、自分らしくいられるんです。
これまで60か国ほどを訪れましたが、日本を一歩出ると自分のなかにパッと火がつくんです。日本では言いたいことを言うと雰囲気が悪くなるけれど、海外は思ったことを主張し合うのが当たり前。自分で切り開いていかなければならない環境のほうが、パワーが出て「生きている実感」があるんです。