「夫婦としての公表」が大事だった訳
── 入籍にはこだわらないいっぽうで、「(第3夫人として認められる)互いの関係の公表」には強くこだわったそうですね。その違いはどこにあったのでしょう。
北山さん:日本の法律では一夫多妻は認められていませんし、ギニアで籍を入れると国籍などの手続きが複雑になってしまうため、あえてどちらの国でも籍は入れていません。だから、私たちは法的に守られた夫婦ではないんです。でも、だからといって隠された存在のままでいるのは違うと思ったんです。同じ日本にいながら、1日一緒に過ごしても、彼は第2夫人と暮らす家に帰っていく。外から見れば、まるで人に言えない不適切な関係のように見える。それがどうしても受け入れられませんでした。
また、サンコンが熱中症になり、救急車で運ばれたとき、私は検査室に入れてもらえませんでした。「妻です」と伝えてもふたりの関係を示すものがない。公表したからといって法的な証明になるわけではありませんが、公表したことで「本当に奥さんなんですか?」と、疑われ続けることはなくなります。私にとってその違いは大きかったです。
だからこそ「発表してくれないんだったら別れる」と、彼には何度も伝えました。私にとっての結婚の形は、入籍ではなく、堂々とパートナーとして公表すること。ギニアにも行き、時間をかけて説得して、ようやく2018年に公表できたときは胸のつかえがとれてホッとしました。

── ただ、現在もサンコンさんとは同居されていないと伺いました。
北山さん:もともと私は尽くすのが好きなタイプなので、一緒にいると何から何まで全部やってしまうんです。そうすると相手の気持ちも、「妻」から「お母さん」になり、相手のことに全力になればなるほど、自分が打ち込みたい活動に100%の力を注げなくなってしまいます。
私には、長年、慈善活動を通じて思い描いてきた、ギニアに学校を作りたいという大きな夢があります。だから、ある程度の距離を保ちながら、自由がきく今のスタイルが私には合っているんです。離れて暮らしていてもよく会うし、1日20回以上、LINEが来ますから(笑)。情熱的な愛情も、自分の夢も思う存分追うことができる。私にとってはこの生き方がいちばん自分らしくいられる気がします。
取材・文:西尾英子 写真:北山みつき