前代未聞の「元中卒のプロレスラー先生」を目指して
── 高校卒業後は大学に進学されたんですよね。大学のほうが大変というのはどういった面からでしょうか?
大原さん:定時制高校卒業後は、星槎大学の通信制に進学したんです。星槎大学の「セカンド・キャリア・プロジェクト(SCP)」という、アスリートや芸術家たちを対象にした教育界でのセカンドキャリア支援のための制度を利用したもので、奨学金制度やキャリアサポートが受けられ、教員免許もこの制度で取得を目指せます。
大学に入学できたのはよかったのですが、苦労したのは、「すべて自分の自主性が問われる」こと。オンデマンドの授業を受けるにしても、勉強するにしても、自分で行動を起こさないと何も始まらないんです。
人間って決められていないと堕落しがちじゃないですか。高校時代は決まった時間に登校すれば何とかなったけど、大学では自分でテーマを決めて文献を調べて、レポートにまとめて…と、すべて自分次第。自分で自分を追い込まないと進めないのはしんどかったです。
スクーリングとプロレスの試合が重なってしまって、授業の途中に着替えて後半をコスチュームのまま受けたこともありました。あとになって、先生からも「何となくわかってたよ」と笑われましたけど(笑)。

── 大学では、高校地理歴史科の教員免許を取得すべく勉学に励まれ、単位を取得済みだそうですね。
大原さん:中学校時代は、プロレスラーになりたい一心でトレーニング尽くしの毎日。授業をしっかり受けなかったことに後悔が残りました。そんな自分だからこそ子どもたちに教えられることがあるんじゃないかと、教員として教壇に立つ目標を持ったんです。
本当は2026年3月に卒業しているはずだったんですけど…うちの大学は、単位が取れていたとしても卒業するには自己申請が必要ということを知らなくて。申請期限が切れてから気づいた結果、もう一度大学4年生をやることになっちゃったんです。「なんでこんなことに…」って最初は落ち込んだけど、だったらもっと勉強すればいいかと思い直して。今はさらに高校公民、中学社会の教員免許取得を目指して勉強しています。実は大学卒業後は、大学院への進学を目指しているんですよ。
── 大学院へも進学されるとは、すごいです!
大原さん:大学院では、今、高齢者の方向けに行っている筋肉トレーニングの教室を、科学的根拠に基づいた内容にするための学びや福祉の勉強ができればと思っています。最終的には、地元・川崎の高齢者をもっと元気にするのが目標です。
中卒のプロレスラーが高校と大学に通って、さらに大学院で先生を目指すって、なんか面白いと思いませんか?自分の可能性を感じて、僕自身もワクワクしているところです。
取材・文:たかなしまき 写真:大原はじめ