「人間って怖い」とすら感じたいじめの記憶

── いっぽうで、学校生活はとてもつらかったそうですね。

 

小出さん:小学校から中学校卒業まで、ずっといじめられていました。撮影でセットした髪のまま登校すると「(ヘアスプレーが)臭いんだよ」と言われたり、校門前でヤンキーみたいな子が待ち伏せしていて「ルーガを出せ」って絡まれたり。バッグを踏まれ、机はグチャグチャにされ、挙げ句の果てには自分が載っている雑誌を目の前で破られたこともありました。

 

でも、学校では「死ね」と暴言を吐かれるのに、一歩外へ出て知らない人から「ルーガちゃんじゃない」って声をかけられると、いじめていた子たちが急変して。突然、腕組みをしてきて仲よしのふりをするんです。「人間って怖いな」と、小学生ながらにそう思っていました。

 

── 親御さんには相談していたのですか。

 

小出さん:できなかったです。きょうだいは普通に友達がいるのに、自分だけいないのが恥ずかしいと思ってしまって。

 

── そうだったんですね。でも、それだけの状況であれば、学校もいじめに気づいていたのではないでしょうか。

 

小出さん:掲示物に画鋲を刺してクシャクシャにされているのを先生たちは知っていたはずなんですけどね。見て見ぬふりをしていました。しばらくして親がいじめを知ることになり、学校の先生に相談してくれたんです。でも、面談では先生に「いじめられたくないなら仕事を辞めなさい」と言われました。

 

── それはつらいですね。

 

小出さん:「もう学校へ行きたくない」と思いましたが、親には「立ち向かって強くなれ」という考えがあったようです。転校についても考えてくれていたようですが、「この仕事をしている限り、どこへ行っても同じようなことは起こり得る。だから、乗り越える力を身につけたほうがいい」と考えたようで…。でも、私が大人になってから「今思えば、あのとき学校を休ませればよかったと後悔している」と話していました。     

 

母と私、担任、そして加害児童で話し合いの場も設けましたが、状況が大きく変わることはありませんでした。そんななか、姉が「次に何か言われたら、相手をぶん殴っていいよ。責任は私が取るから」と言ってくれたんです。「もう我慢しなくていいんだ」って思えた瞬間、心がふっと軽くなりました。

 

もちろん本当に殴ったわけじゃないですけど、「いざとなったら反撃していいんだ」と思ったら気が楽になって。「今日は何されるかな」「証拠写真撮っておこうかな」なんて思えるほど、気持ちに余裕が持てるようになりました。

 

── 中学卒業後、いじめの加害者と再会したことはありましたか?

 

小出さん:ないです。しれっと同窓会に誘われたことがありましたが、もちろん行きませんでした。向こうは忘れているかもしれませんが、いじめられた側は一生、当時の出来事を忘れられないんですよ。

 

でも、あの経験があったから、人の心の痛みが少しはわかるようになったかな、と今は思っています。

「学校だけが世界じゃない」と伝えたい

小出由華
高校生時代の小出さん

── 高校では通信制に通ったことで、いじめはなくなったそうですね。

 

小出さん:はい。高校は通信制を選んだので毎日通う必要はなくなりましたし、私と同じように仕事をしながら通っている人も多くて、いじめどころではなかったですね。60代で大学進学を目指している方や、病気と闘いながら通っている子もいました。みんな純粋に「勉強したい」という気持ちで来ていて、目がキラキラしているんです。

 

── 今、いじめで悩んでいる子に伝えたいことはありますか。

 

小出さん:どうしても学校へ行くことがつらいときは、無理をし続けなくてもいいと思います。私自身は当時、「学校へ行くしかない」と思い込んでしまい、どんどん自分を追い詰めてしまっていました。でも今は、オンライン授業やフリースクールなど、学び方や過ごし方にもさまざまな選択肢があります。そして、学校に限らず、今自分がいる世界だけがすべてではありません。今は苦しく感じていても、自分に合う場所や安心できる居場所、人との出会いは、この先たくさんあります。

 

ひとりで抱え込まず、「つらい」「苦しい」と感じていることを、誰かに相談してほしいです。「今いる環境だけで自分の価値が決まるわけではない」ということを、苦しんでいる子どもたちに知っていてほしいと思います。