赤ちゃんのころから将来の「噛めない」「吹けない」は防げる

赤ちゃんや幼児などこれから口の発達が進む段階で、今後のためにできる対策はあるのでしょうか? 

 

「赤ちゃん時代から口腔機能を育てることはできます。膝の上やベッドにスマホを置いた状態で授乳すると、前かがみになり、赤ちゃんは舌を一生懸命動かさなくてもミルクを飲めてしまいます。身体を起こし、赤ちゃんがしっかりと乳首をくわえて『深飲み』できる姿勢が理想。また、柔らかくて軽く吸うだけでミルクの出てくるようなニプルではなく、固めで、口全体(唇・舌)で押さえないと出てこない形状がベストです」(森先生)

 

離乳食のあげかたにもコツがあるそうで、「スプーンを赤ちゃんの口の中まで入れるのではなく、手前で止めて待ってみて」と森先生。「赤ちゃんは自分から口と舌を使ってスプーンをくわえようとします。この『寸止め』の繰り返しがいいトレーニングになるんです」。

 

幼児期に気をつけるべきは、「食事中、足ブラブラ」。一見関係なさそうに思えますが、「実は、口に力を入れてしっかり噛むためには、足の指が開いた状態で足裏が完全に床についていないといけないんですね。ダイニングテーブルで食事をするご家庭では、子どもの成長に合わせてちょうどいい位置に足置き台をセットできるチェアがありますので、ぜひそちらを使ってください」。

 

小学校以上のお子さんの場合、つい直接注意したくなるものですが、森先生は「あまり頻繁に注意すると、ストレスを感じたり食事を楽しめなくなったりしてしまうかもしれません」と警鐘を鳴らします。

 

「おすすめは、遊び感覚で口腔機能を鍛えるトレーニング。大きめのボタンに糸を通して、一定時間、ボタンを落とさないように唇でくわえ続けます。ゲームで遊んでいるときに『落としたらゲーム終了ね』と約束してスタートすると、どのお子さんも頑張るそうですよ(笑)」(森先生)

 

毎年6月4日から10日までは「歯と口の健康週間」です。園や学校の検診で「異常なし」といわれたとしても、もしお子さんに、今回ご紹介したような「固いものを嫌がる」「口がポカンと開いている」「誕生日ケーキのロウソクを吹き消せない」といった様子があったとしたら、思わぬリスクが潜んでいる可能性も。あなたのお子さんは大丈夫ですか?

 

文:高谷みえこ

(※1)文部科学省『令和7年度学校保健統計調査』(※2)公益社団法人日本歯科医師会「歯科医療に関する一般生活者意識調査」