入籍したら3億4000万円の連帯保証人になって

── その後、どんなことが起きたのでしょう。
木村さん:入籍して少し経った頃、Aの会社に呼ばれてとある書類に判を捺してしまいました。とにかく「会社の契約で妻の判が必要」とだけ説明され、そのときは彼の説明に納得してしまい、「そういうものだ」と押印をしてしまったんです。その場に、銀行の担当者もいて、Aの説明に同意をしていたので疑いもしませんでした。「判を押すことがどういうことか?」何も考えないまま、まさか「夫」に騙されるなんて思っていなかったので、本当に軽い気持ちで判を押してしまったのです。促されるままに、作業は進んでいってしまいました。
── そのとき押したのは、何の書類だったんですか。
木村さん:最終的には利子を含めた3億4000万になるAの連帯保証人になる書類でした。事業資金として欲しかったのだと憶測しますが、その辺りは説明されませんでした。確認すべきだったのですが「彼のすることにおかしな点はない」「彼は私のためを思って言っている」と現実逃避をしていたように思います。
書類に押印してしばらくすると、家に取り立ての人が来たり、「返済してほしい」という連絡が頻繁に入るようになりました。そこで初めて、自分が何に判を押したのかを調べたんです。ようやく、借金の連帯保証人になる書類だったとわかりました。
さらに、Aは私を連帯保証人にしただけではなく、「木村郁美の夫」という肩書を使って、あちこちで多額の借金をしていたこともわかりました。被害に遭われた方々に謝罪に伺った際、「木村さんが奥さんだったから信用した」と言われて…。本当に申し訳なくて、自分の借金以上に、胸が苦しくなりました。
── 少しでも早くお金を調達したかったから、入籍を急いでいたんですね。
木村さん:そうだと思います。実は入籍前にも,それまで貯金してきた私の全財産を「自分がキチンと保管しておくから」という約束のもと、渡してしまっていました。本当にお金に困っていた証拠です。人生をよくしたくて結婚したのに、一気に地獄に突き落とされて。騙されたと知り、すぐに離婚を切り出しましたが、「離婚はしない」の一点張り。家にも帰ってこず、どこにいるかもわからない。話し合いすらできませんでした。
── その間、お仕事はどうされていたのですか?
木村さん:会社に迷惑はかけられないと思い、何事もなかったように出社し、テレビに出続けていました。連帯保証人になっているわけですから、仕事を辞めるわけにもいきません。這うような思いで会社に向かっていました。
それでも、職場に行くと背筋が伸びるんです。「ちゃんとしなきゃ」って。仕事をしている時間だけは、ほかのことを考えずに済んだので救われました。ただ、スタジオから画面が切り替わってVTRなどで自分が映らなくなった瞬間に、涙が突然あふれて。こっそり泣くこともありました。