「前はよかったのに、なんでダメなの?」と

── 相手の言葉に押し切られ、「同意」のないまま関係が進んでしまった。その後も、横井さんの「嫌だ」という意思は受け止められなかったのでしょうか。
横井さん:一度そういう関係になってしまうと、次に断ったときに「前はよかったのになんでダメなの?」と詰め寄られ、拒み続けることが難しくなりました。「せめて避妊はしてほしい」とお願いしましたが、「避妊具が高くて買えない」「買うところを誰かに見られたら嫌だ」と。調べてみたら1000円くらいするんですよね。中学生には大金ですし、家計も厳しかった私には用意することもできなくて。
母は仕事で不在がちで、学校が終わると彼が家に来る。逃げ場のない状況が続いていました。当時は、生理のことですら友達同士で口にするのが恥ずかしく、誰にも打ち明けることができなかったんです。
── 嫌だという気持ちを抱えながら、その関係を断ち切れなかったのはなぜでしょう。
横井さん:当時はいろんな環境の変化が重なり、気持ちが不安定になっていました。中3になるタイミングで母が再婚し、仲よしの兄も結婚して家を出てしまい、急にひとり取り残されたような感覚がありました。強い孤独感を覚え、「人生もうどうでもいいや」と投げやりになっていたんです。
中1の頃から不登校気味で、学校も安心できる場所ではありませんでした。一部の先生が生徒の胸ぐらを掴んだり、いじめに加担する場面を見たこともあって、大人に対する嫌悪感もありました。
家にも学校にも居場所がなく、頼れる相手がいなかった。だからこそ、彼を拒絶することで、「ひとりぼっちになってしまうんじゃないか」という怖さがありました。今思えば、彼に依存していたのかなと思います。
── 妊娠が分かった後、相手側とはどのような話し合いが行われたのでしょうか。
横井さん:当初、彼は「一緒に育てよう」と言っていました。ところが、両家で話し合う前に2週間ほど連絡が取れなくなり、その後、相手の親から突然「里子に出してくれ」と言われたんです。でも私は自分の手で育てたかった。すると今度は相手の家に住み、彼の家族の世話や家事を担いながら育ててほしいという話がきて。「せめて1歳までは自分の母の元で育てたい」と伝えると、「それならうちは受け入れられない」と突っぱねられ、話し合いは決裂しました。
さらに出産後には、彼から「子どもの血液型が違った。自分の子じゃない」と言われました。病院に確認したら、「無断で血液検査などしない」と言われて。親が嘘をついて引き離そうとしているのだと思いました。
「逃げたいならそう言って」。彼にそう伝えると、「じゃあ、逃げます」とLINEが来て、それきりになりました。最終的には、高校に進学せず、母に助けてもらいながら、子どもを育てていくことにしたんです。