「性的同意」という言葉が機能するには
── 2023年の刑法改正で、性犯罪の規定が見直されました。合意の有無を考える際に、暴力や脅しだけでなく、「嫌だ」と言える状況だったか、言った後も拒み続けられる状況だったかも問われるようになっています。かつての経験を振り返り、「性的同意」という言葉が広まってきた今の状況をどう見ていますか。
横井さん:法律として明確な基準ができたことで、それに救われる人も増えると思うので、よかったなと感じます。当時から社会にそうした認識があれば、私の「嫌だ」という言葉も、もう少し重みのあるものとして伝わっていたかもしれません。
ただ、その言葉を知っていたとしても、実際に防げたかどうかは分かりません。
10代前半という心も体も未熟な時期に、相手がどこまでその意味を理解し、自分をコントロールできるのか。言葉やルールだけでは埋められない難しさがあるんじゃないかなという気がします。
── ルールが整うだけでは、守り切れない危うさがあると。
横井さん:結局、性的同意という言葉が機能するためには、性教育とセットでなければ変わらないのではと思うんです。振り返ると、当時の私の学校では、男子が性の話題でふざけていると先生も一緒になって「そういうときはゴムつけろよ」とおちゃらけて流すような環境でした。それでは生徒は行為そのものを軽視してしまいます。
女性の体にどれほどの負担がかかり、出産には命の危険が伴うこと。そうした現実をちゃんと伝えていかないと、言葉だけが独り歩きしてしまう気がします。
私自身も当時はあまりに無知でした。だからこそ、性行為の先には、相手の体や人生に関わる責任があることを発信していきたいと思っています。
取材・文:西尾英子 写真:横井桃花