結局、どんなライフスタイルを選んでも

── 2012年から子どものいない女性同士で経験を話し合う「マダネ プロジェクト」を続けていますが、社会の変化は感じますか?

 

くどうさん:以前はメディアに取り上げられても、冷たい反応や非難を受けることが多かったです。行政や企業に子どものいない女性へのサポートの話をした際も、「何に困るのかわからない」「サポートをする意味が見出せない」と賛同を得にくかったのですが、最近は理解が進みました。

 

企業でも、育児休業(以下、育休)や時短勤務(以下、時短)を行う同僚を支える社員に対して、会社制度としてフォローする動きも見られます。

 

── それは大きな変化ですね。ただ、育休や時短制度を支えるまわりの社員に対する会社からのフォローがあっても、いまだに育休や時短制度を利用することで、周囲に迷惑がかかるのではと、気兼ねする母親も少なくありません。

 

くどうさん:育休や時短など、子育てする人への制度的な支援は必要ですし、個人間でもできる範囲でサポートするのが望ましいと思います。でも、人間同士なので、さりげなく「ありがとう」と言ってもらえると、フォローに回る者としては、すごく嬉しいものです。

 

「また力になれたら」「カバーしよう」と、より前向きな気持ちでサポートに回れるように。実際、子育て支援制度を支える、子どものいない人たちのなかには「お金じゃない」と考える人もいます。サポートする立場から思うことがあっても、子育てに理解がないと受け取られてしまうのではと、なかなか職場では意見が言えないという声も聞きます。

 

著書に登場する、職場の子育て支援制度について考える独身女性(森下えみこ・くどうみやこ共著『まんが 子どものいない私たちの生き方』/小学館より)

──「ありがとう」のひと言で、お互い気持ちが楽になりますよね。育児だけではなく、介護や病気でも誰かが誰かを支えているので、感謝の気持ちを忘れずに、「お互いさま」でいきたいです。最後に、これまでの子どものいない人生をふり返って、現在の境地を教えてください。

 

くどうさん:一時期は気持ちが沈むこともありましたが、現在は子どもを持たない人生を落ちついて歩んでいます。それでも時折、子どもを持つ人がまぶしく思えることがあります。「娘と推しのライブに行った」という友人の話を聞くと、正直、うらやましいと感じるときも。

 

でも、子どもがいない1000人近い女性の話を聞いて、物事の捉え方が広がり、人生の視座も上がりました。どんなライフコースを選んでも、必ず得るもの、得られないものがあり、100%完璧ということはありません。人は持っていないものに目が向きがちですが、「持たないものではなく、自分が歩んだ道でしか出会えなかった宝物に気づいて、いかにそれを慈しみながら生きていくか」が大切だと今は思っています。

 

取材・文:岡本聡子 写真:くどうみやこ・森下えみこ、小学館