職場や友人の集まりで、子どもの話題にどう触れるべきか迷ったことはありませんか? 「気を遣って話題を避ける」という優しさが、時に当事者をさらに疎外しているかもしれません。自身も病気をきっかけに子どものいない人生を歩み、子どものいない女性1000人近くに話を聞き続けてきたくどうみやこさんは、子どもの有無にまつわる対立や違和感を解消する鍵は「想像力と人間性」にあるといいます。

「子どもを正視できず」夜しか買い物できない人も

── 自身も病気をきっかけに子どものいない人生を歩みながら、子どものいない女性1000人近くの話を聞き続け、寄り添う活動「マダネ プロジェクト」を主宰するトレンドウォッチャーのくどうみやこさん。45~49歳の日本人女性の約3割が子どものいない人生を送っているそうですが、センシティブなテーマだけに、当事者が公に本音を語ることは多くありません。

 

くどうさん:私は40代前半で病気のために子どもを持たない人生となり、気持ちが大きく落ち込みました。もともとの性格から、立ち直りは早かったのですが、実際に子どもを持たない人たちの話を聞くと、「10年以上も暗闇を彷徨っている」「子どもの姿を見るのがつらく、21時以降にしか買い物などに出ない」という人もいました。

 

また、いったん気持ちが落ち着いた方でも、身近に妊婦さんが現れたり、赤ちゃんの泣き声を聞いたりすると、心がざわついてしまうというのは、本当に多くの方が経験しています。皆さん、細やかなことに反応し、揺れる思いを抱え、なかには普通に生活するのも困難な状況になってしまう方も。私の想像を超えた心情に、大きな衝撃を受けました。

 

── そこまで…。そもそも、どのような経緯で子どものいない女性の話を聞く活動を始めたのですか?第1回目の会の様子は?

 

くどうさん:最初は、子どものいない女性について調べてもほとんど情報が見つからず、子どものいない女性がまるで存在しないかのように扱われていることに愕然としたんです。職業柄、時流を分析して今後子どものいない女性は増加傾向だと予測できましたし、これは自分で聞くしかないと考えて、2012年に活動を始めました。

 

子どもがいないと横のつながりを持ちづらいので、「子どものいない人同士でつながって前向きに楽しもう!」というノリで、第1回目の「子どものいない女性の会」を開催したのですが、ふたを開けると予想とはまったく違う、涙涙の展開になりました。

 

── と言いますと?

 

くどうさん:最初に自己紹介を兼ねてこれまでの経緯を話していただくのですが、「今まで本音を話す機会がなくて、ひとりで抱え込んでしんどかった」と話す人が、かなりいらっしゃって。

 

「子どもがいない」といっても、未婚・既婚の違い、ほしかったけれど叶わなかったのか、選択して持たなかったのかなど事情は人それぞれです。理由についても、病気やパートナー由来、タイミングなど多岐に渡ります。さらに、意識的に子どもを持たない選択をした人も、悩みがないわけではなく、また別の不安や悩みを持っています。

 

私が「そんなことまで気にしているんだ」とハッとしたのは、「犬を飼っている」と誰にも言えない人がいたことでした。その方は「子どもがいないから、子どもの代わりに犬を飼っていると思われるのが嫌で、誰にも言えない」とおっしゃいました。私も犬を飼っていますが、知られたくないと思ったことがなく、実際に話を聞いてみないとわからない繊細な感情にふれることが多々あります。