罰則より必要な「教育の機会」

友さんの両親は、16歳以上の自転車の青切符導入について「罰則よりも教育の機会があれば」と話します。

 

「小学4年生から学校で年に1回、自転車安全教室があったのですが、自転車に毎日乗ることになった高校生になってからはありません。16歳というのは、社会では大人として扱われることも多い年齢ですが、まだまだ楽観的、衝動的な行動もあって実際にはわかりきっていないことも多いです。高校生活はこれから社会に出るための準備期間で、社会に出る前にもう一段階、手厚いケアが必要な時期だと感じます」(母・夏樹さん)

 

いくら罰則が増えても、娘は絶対に戻ってこない──。両親は、友さんが亡くなった後に届く郵便物を受け取るたびに感じることがあるといいます。

 

「友は、管理栄養士になりたいと言っていて。資料請求していた専門学校の資料が今も届きます。そのなかに看護学校の資料が入っていて。私は40歳を過ぎてから看護師の免許を取り、訪問看護の仕事をしているのですが、もしかしたら友は私を見て看護師にも興味を持ったのかなって。実習や課題が大変で、入学式にも出てあげられなかったのに…。卒業式に出ることも、夢に向かう姿を見届けることも叶いませんでした。

 

どちらか一方がルールを守るだけでは安全な道路にはなりません。それぞれが『自分勝手な安全』を作ってしまうことが交通事故の原因のひとつなのではと感じることが増えました。自分では安全に走行しているつもりでも他者から見たら危険な運転があることを、自転車も自動車もそれぞれ意識して、もう一度考えていただけたらと思います。ルールを守っても危険な道路があるならば、ぜひお近くの公共機関に連絡をしてほしいです。1件でも悲しい事故が減ることを願っています」(母・夏樹さん)

 

取材・文:内橋明日香 写真:ご遺族提供