「海外でバスってる動画を少し真似しませんか?」。15歳年下、お笑いグループ・ビックスモールンのグリさんがそう言ったとき、リーダーのゴンさんは、ベテラン芸人のプライドから「人の真似って…」と咄嗟に抵抗したそうです。でも、すぐ順応し、作った動画は海外で大バズリ。いまではYoutube公式チャンネルの登録者数350万人に。さらなる海外展開も考えていると話す50歳のゴンさんの、世代を超えたコミュニケーション力に迫ります。

183cmと156cmに161cmが加わって芸が広がった

── ビックスモールンさんのボディーアートは、背の高い人と背の低い人が、お互いのよさを見事に活かしていますよね。

 

ゴンさん:ありがとうございます。183cmの僕が156cmのチロと初めて、銀座の街で外車ジャガーのエンブレムを体で表現したのが、ボディーアートを始めたきっかけです。漫才ではひとつも笑いを取れなかったのに、僕がチロを持ち上げてジャガーのエンブレムを真似たのが通行人にウケたとき、「これだ!」と確信しました。

 

2019年から加入したグリは161cm。メンバーが3人に増えたことで、芸の幅が大きく広がりました。たとえば、オリンピックのマークを3人でつくった芸は、海外でも好評でした。

 

ビックスモールン
まさに「大・中・小」なビックスモールン。手前がチロさん、真ん中がグリさん、奥がゴンさん

── 2019年に「鳩時計」の動画が海外でバズり、評判になりました。実は、SNS動画の波に偶然乗れたわけではなく、ご自身たちから仕掛けたそうですね。

 

ゴンさん:そうです。当時、僕はなんでもひとりでやってて。これからはネットとSNSの時代が来ると思い、YouTubeやTikTokを始めようとしたんですが、人に頼むのが下手で、とりあえず自分ひとりで始めたんです。YouTubeがバズり始めてコメントも増えてきたものの、数千件のコメントに自分ひとりで返信していたら限界を感じちゃって。

 

そこで、チロとグリに「ちょっと集合!」って声をかけて、うちに呼んで。「無料のアプリがあるから、今からこれで撮影して、これで編集するんだよ」ってやり方を教えて、ゼロから動画作りを始めてもらったんです。

 

そうしたら、グリの分析能力がめちゃくちゃ高いことがわかりました。当時、グリは27歳くらいだったんですけど、すぐネットの世界にのめり込んで。もともとテレビとネットのハイブリッド世代だったから、時代の変化を受け止めるのが早かった。さっそく「全部真似するわけじゃないけど、海外で流行っている動画を自分たちの芸に落とし込んで、ぐっとクオリティ高いオリジナル動画を作るのはどうだろう」って提案してくれたんです。

 

僕は芸人畑に20年いたので、それを聞いて最初は「うーん、人の真似ってどうなんだろう」って複雑な気持ちでした。芸人の世界では他の人のネタをパクるのは御法度ですから。でも、海外のプロデューサーの目を引くような再生回数がどうしてもほしかった。だから、言われた通りにやってみたんです。そうしたらドカン!と数字が爆上がりして。いまではYoutubeのチャンネル登録者数は約350万人にまで伸びました。

 

ビックスモールン
イタリアのバラエティ番組からオファーを受けて、ローマを訪れたときの1枚。コロッセオをバックに

── 最初、人の真似をすることに抵抗感があったのになぜ気持ちが変わったんですか?

 

ゴンさん:いやだなあと思うのは最初だけで、数字がどんどん伸びていくのを見たら、納得したというか。せっかく意見を出してくれたのに、自分のプライドだけで動かないのはもったいない。やってみてダメだったら方法を変えればいいと思ったんです。思考は、すぐに「今はもう動画の世界にゲームチェンジしているんだから、テレビとネットのいいとこどりで動画を作っていけばいい」と変わりましたね。

 

── グリさんの影響力は大きかったんですね。

 

ゴンさん:そうですね。それに、10年くらい前、テレビの広告料をインターネットの広告料が抜いたという衝撃的な記事を読んで。それ自体はすごく小さい記事で、まわりの反応も薄かったんですけど、僕は「先へ進まないと!」と危機感を持ちました。だから、スマホと動画に軸をおいて、一生懸命動画を作っていたわけなんですけど、まさかグリがこんなに高い分析力を持っているなんて。本当にいいやつが入ってくれました(笑)。