自分を縛る「やるべきこと」を手放して変わり始めた人生

香坂みゆき
今では仕事の合間を縫って、積極的に海外へも

── シングルになり、「昔も今も、実は自由だった」と感じたことで、行動にはどんな変化が現れましたか?

 

香坂さん:誰かに「行ってはいけない」「やってはいけない」とは言われてないのに、自分で勝手にそう決めてしまっていることがあったなと思っていて。家族のスケジュールに合わせるのが基本になっちゃうと、「行けないもの」「やれないもの」だと思い込んでしまうことってあると思うんです。

 

── 具体的にはどんなことですか?

 

香坂さん:たとえば旅をすることですね。子どもたちが小さい頃は一緒に毎年ハワイへ行っていましたが、子育てが終わってからはコロナ禍や仕事も相まって行くことはなくなっていたんです。

 

── ひとりでフラっと旅行をすることはあまりなかった?

 

香坂さん:子育て真っただなかの時は、「子どもを置いて私ひとりだけ行く」なんてできませんでした。でもシングルになって自由を感じてからも行くことはなかったので、そんな話をハワイの友人に電話でしていたら、「航空券を買えば、ひとりでも来られるでしょう?」と言われたんです。「それはそうだけど…、本当に行けるのかな」と当初は迷っていたんです。若い頃はよくひとり旅もしていたのに。

 

── 平日はレギュラーで生放送番組に出演されていますよね?

 

香坂さん:当時は月曜から木曜まで午前中に生放送がありました。でもよく考えると、「木曜日の夜に出て、現地で2日間遊んで日曜日に帰ると、月曜日から仕事ができるな」と。それで行ってみることにしたんです。

 

── すごい体力ですね(笑)。

 

香坂さん:意外と行けるんですよ!それに、「2泊4日じゃ何にもできない」と思っていたのに、行ったら楽しく過ごすことができました。「行こうと思えば行けるし、楽しめるんだ」と思ったら、年に1、2回は行きたいときにはビュッと行ける気がして。そこから行き先に関係なく、旅行へは気楽に行けるようになりましたね。

 

もともと忙しいのが嫌いじゃないタイプでもあるんですが、「やりたいと思ったことって、意外とできる」という感覚になりました。「やるべき」と思っていたことを手放すと、それまで使っていた時間を、やりたいことに費やせるんですよね。旅行もそうですし、最近では趣味としてやっている習字やウクレレも楽しんでいます。

 

 

「ちゃんとした妻・母でいなきゃ」。そう思うほど、自分の時間が後回しになっていく。そんな感覚に覚えがある人も多いのではないでしょうか。

 

ただその裏で、自分の時間だけでなく、気持ちも少しずつ削られているとしたら…?

 

香坂さんが気づいたのは、「やらなきゃ」と思っていたことの多くが、自分で決めていた「基準」だったということでした。その基準を少しゆるめるだけで、見える景色が変わることもあるのかもしれません。

 

取材・文:石野志帆 写真:香坂みゆき