理想の妻を知らぬ間に「自作自演」してきた

── 結婚生活を振り返って、「自分で自分の首を絞めていた」と感じた部分があったそうですね。

 

香坂さん:1つの理由で(離婚が)決まったわけではないんですけど、あとから客観的に自分を見ると、「『妻としてはこうあるべき』みたいなものがあったな」と感じました。たぶん、みなさん持っていると思うんですよ。「こういう奥さんが素敵」とか「こうあるべき」みたいなものって。それを私も頑張ってやってきたんだと思います。芝居をしているわけじゃないけど、理想の自分を作ろうとしていたというか。

 

── 具体的にはどんな場面でそう感じていましたか。

 

香坂さん:たとえばママ友とランチの約束をしていても、「あ、今日パパが休みになったから家にいるな」と思ったら「じゃあランチには行かないでおこう」と思っちゃうんですよね。別に「行くな」と言われていたわけでも、嫌みを言われていたわけでもないんです。それなのに「ごめん、ランチの約束、来週にできない?」と延期する選択をしてしまう自分がいました。

 

── 当時は妻や母としてのマイルールがあったのでしょうか?

 

香坂さん:「これ!」という明確なものがあったわけではありません。たとえば「家族なんだから、みんなで一緒にご飯を食べよう」とか、そういうごく当たり前のことですね。私が育ってきた家庭でも母や祖母がそうしていて、「ご飯はお母さんが作るもの」という空気のなかで育ってきました。実際、どんなときでもご飯は作りましたし、家もそれなりに整えて、やるべきことはちゃんとやってきたつもりです。

 

── 「私はちゃんとやっている」という思いを、わかってほしいという気持ちはあったと思いますか?

 

香坂さん:「私はこんなにやっている」と口に出したことはなかったけれど、もしかしたら相手にはそのように伝わっていたのかもしれない、と後になって思うことはありました。でも離婚してから、「本当に全部、やる必要があったのかな」「やらなくてもよかったことも、たくさんあったのかもしれないな」と思うようになったんです。