「外国人がいるから犯罪が増える」偏見を持つ人には
── 大事なことですね。おふたりは今、ゲイであることをオープンにして動画配信をしていますが、チャンネルに誹謗中傷のコメントがつくことはありますか?
たっちゃん:ありますよ。よくあるのが「イタリアおねえ」「キモい」「国へ帰れ」といった内容。でも、「こんな人もいるんだな」という感じで、特に気にしていません。差別というか、区別ができていない人たちが言っているんだろうなと。外国人の犯罪などのニュースだけを見て「外国人がいるから犯罪が増えるんだ」と偏見を持っている人もいます。そういう人にはルールを守って真面目に住んでいる外国人もいるんだよ、というところに目を向けてほしいです。
── 動画配信を始めて以降、家族や親戚などからの反応はいかがですか?
ニコぷさん:ひとつ印象的だったことがあって。実は私、たっちゃんと付き合うまで、彼氏を家族に紹介したことがなかったんです。両親が来日したタイミングで初めてたっちゃんを紹介したのですが、そのとき、両親の友人も一緒に来ていて。両親はすでに私がゲイだと知っていたけれど、親の友人たちは知らなかったから、気まずい感じになるのではと心配していました。
ところが、両親が事前に友人たちに「ニコはゲイで、たっちゃんは彼氏なんだよ」と説明してくれたみたいで。両親の友人たちはすっかり私たちのチャンネルのファンになってくれて、動画を見ながら「たっちゃんに会いたい」「料理を食べたい」と言っているようです。ゲイかどうかは関係なく、たっちゃんの人柄や料理に対する熱意をきちんと受け取ってくれてたんだと思うと嬉しかったですね。
同性の何気ない日常から「おいしい、ありがとう」を広げたい
── 人柄が伝わったのですね。今やたくさんのファンがおふたりの発信を楽しみにしていますが、今後のビジョンや夢はありますか?
たっちゃん:SNSを通じて食を通したコミュニケーションや、楽しく食べることの大切さを伝えていきたいです。あとは、同性同士の何気ない日常を届けることで、「男同士がふたりでご飯食べるのなんて、別に普通のことじゃない?」って思ってもらえたらいいなと。将来は、イタリアの自然がすごく好きなので、日本とイタリアの二拠点生活を考えています。
ニコぷさん:発信を続けていくなかで、特に伝えたいのが、作り手に対する感謝の気持ちです。同性でも異性でも、作った人に感謝を示さない人って多い気がします。「おいしい、ありがとう」と、リアクションや言葉で感謝を伝えるのは、大事なことだと思うので。日本だと「奥さんが料理を作ってくれて当然」という人も多いと聞くので、ちゃんとありがとうを言おうよ、と伝えたいです。
たっちゃん:ニコは動画でいつも私が作った料理に対して「ウマボーノ(「ウマい」とイタリア語の「buono」を掛け合わせたニコぷさんの口癖)」ってわかりやすくリアクションしてくれるんです。そんなニコを見た視聴者の方から、「ニコちゃんみたいにおいしそうに表現してくれたら、作りがいがありますよね」という声をいただくことが本当に多くて。その反応に対して「普段みんなは黙って食べているのかな。コミュニケーション取らないの?」と逆に驚かされるし、残念だなと思うんです。
目の前の食事には、作った人だけじゃなく生産者などたくさんの人がかかわっています。当たり前と思わず、食材の背景や作ってくれる人に感謝を示すことの大切さを伝えていきたいです。
取材・文:市岡ひかり 写真:たっチューバーチャンネル