「お金が足りない」企業も資金提供をためらう事情
── 認定NPO法人として、ホームレス状態から抜け出すための支援を継続的に行っていくのは容易ではないはずです。
川口さん:正直、いまも存続の危機を感じています。先のアンドベースの資金5億円のうち3億円は金融機関からの融資を利用し、返済を含めて毎月約300万円のランニングコストがかります。その原資として、毎月1000円の寄付をいただく個人のサポーター(寄付会員)を3000人集めなければならないんですけど、現状では2000人余り。2024年度は組織全体も赤字に転落したところを、クラウドファンディングを実施してなんとか持ちこたえることができました。
本来であれば個人のサポーターをある程度確保してから、アンドベースの事業に踏みきるべきでした。当初はその計画だったんです。でも、2018年に開設した短期滞在型のシェルター施設が満床続きとなり受け皿がなく、待っていられなくて決断しました。
準備不足で2023年にスタートしたアンドベースも、すでに満床続きに。困窮状態に陥る人の増加とともに支援のニーズが高まっているため、持続可能な事業運営は大きな課題ですね。

── 企業からの寄付は望めないのでしょうか。
川口さん:企業からは物品のご寄付をたくさんいただき、非常に助かっています。ただ、金銭のご寄付は難しいと言われているのが実状です。2024年度で寄付総額は6600万円ほど。2棟42室のシェルターの運営は、HUBchariの利用料収入に大きく支えられている状況でしたが、シェアサイクル市場も競合他社の出現で厳しくなりHomedoor全体で赤字となってしまいました。寄付集めを頑張らなければいけない状況ですが、私たちの努力不足もあってハードルは高いです。たとえば、環境関連の事業を行う会社だったら、環境問題を扱う団体へは寄付するけど、ホームレス支援の団体へは寄付する理由がない、と言われてしまって。
現在もYouTubeチャンネルをやったり、SNSで情報発信したりと、広報活動をしながらもがいていますが、解決の糸口はまだみつかっていません。だからといってあきらめず、個人・企業の寄付確保に今後も力を注いでいきます。そして、私たちが目指す「誰もが何度でもやり直せる社会」の実現に向け、歩みを止めずに進んでいきます。
取材・文:百瀬康司 写真:Homedoor