家賃滞納や体調不良。誰にでもある「ちょっとした躓き」から、住まいを失う若者が増えています。Homedoor代表の川口加奈さんが見たのは、努力では抗えない「運の悪さ」で人生が詰んでしまう日本社会の目詰まり。相談者の半数を占める若年層のリアルな叫びと、5億円を投じて作った最後の砦「アンドベース」が直面する存続の危機。他人事ではない「一寸先は闇」の現実に、私たちはどう向き合うべきか。
10代から生活困窮に陥る現代の闇
── 川口さんは2010年からホームレスの人をはじめとする生活困窮者の支援活動に取り組んでいます。近年は、訪れる人の層が変化し、相談内容も変わっているようですね。
川口さん:顕著なのは若年化です。年間1000人前後で推移する相談者の半数を10代〜30代の若者が占めるようになり、そのうち約8割が生育環境に課題を抱えています。虐待、親の離婚、中卒、児童養護施設で育った経験など、生まれ育った家庭環境が成人してからも不利な状況を招き、安定した就労が難しく、住まいを失うなど、生活が立ち行かない状況に陥ってしまいます。
加えて、相談者層が多様化している傾向も見られます。母子・父子世帯、障害者、高齢者、戸籍がない人など、さまざまな背景を持つ人たちが、同様に困窮状態を余儀なくされています。
── 誰もがホームレス状態になる危険性をはらんでいる。
川口さん:そうですね。雇用が流動化し、あらゆることが不確実になった現代では、誰もがふとした瞬間に転落してしまう可能性を持っています。とくに生育環境に課題を抱えている若者の場合、困窮した際に親に頼ることができず、孤立を深め、行き場を失ってしまいます。「自殺しきれなかった」と、Homedoorに相談にくる方もいらっしゃいました。
また、大阪などの大都市では、住まいがない方が生活保護を申請しようとしても、集団生活の施設への入所が条件となっており、制度が利用しづらいなど、セーフティーネットが機能しきれていない側面もあります。だからこそ、誰もが安心して頼れる仕組みを整えていく必要があると感じています。