3時間前には集合「やる気に満ちていた」
── 一方、HUBchariを機能させるにはホームレスの人たちに働いてもらわなければなりません。現場のマネジメントに苦労されたのではないでしょうか。
川口さん:いえ、Homedoorに来るおっちゃんたちは、働きたくてうずうずしている人ばかり。仕事を真面目にやってくれるので、マネジメントの苦労はそれほどなかったです。むしろやる気に満ち溢れすぎて、集合時間の2、3時間前から現場をうろつき不審者扱いされるなどのトラブルはありましたが(笑)。
HUBchariでは、たとえばバッテリー交換をすると1本200円ほどの工賃がもらえます。10本で2000円。こうした仕事を通じて「路上からでも働けるんや」と感じ、労働の感覚を取り戻してほしいんです。実際、あるおっちゃんはその感覚に目覚め、自分の自動車免許を再発行し、トラック運転手として雇用されました。HUBchariの仕事をきっかけに蓄えや自信を得て、一般の就労にステップアップしていく人は何人もいますよ。

── 長い時間を要したとはいえ、HUBchariが世の中に受け入れられて、成功できた一番の理由は何だと思いますか。
川口さん:HUBchariの収入は全部、路上脱出のサポートに使っています。だからといって、ホームレス問題を解決しようと思ってHUBchariを利用する人はほとんどいないはずです。利便性が高いから使うわけで、それがいつのまにかホームレス問題の解決につながるというビジネスの形を築けたのが良かったのでしょう。この場を借りて恐縮ですが、大阪市民の方はもちろん、大阪に来られる際はぜひHUBchariをご利用ください。
取材・文:百瀬康司 写真:Homedoor