何の取り柄もなかった私がみつけた天職

── そんな思いをしながらも前を向き、進んできました。ホームレス支援の活動を20年以上やり続けてこられた原動力は何でしょうか。

 

川口さん:もともと私は何の取り柄もないんです。学生時代も学級委員や生徒会を務めたわけではなく、特別に使命感が強いタイプでもありません。でも、Homedoorを立ち上げて以降、解決すべき喫緊の課題が次々と出てきて。仕事や住まいの各種サポート、夜回り活動など、目の前のタスクをひたすらこなした結果、今に至るという感じです。その状況は今も続いています。

 

── 川口さんたちの支援を受けて、再出発できた方も少なくないと思います。やりがいを感じる部分は大きいのでは。

 

川口さん:ホームレス状態にあった人が、私たちの支援によって社会復帰し、別人のように元気になる姿を目にするのは素直に嬉しいです。ただHomedoorはあくまで相談者にとってはひとつの選択肢。家を借りたり、仕事に就いたりすることを押しつけたりはしません。

 

「もう一度やり直したい」と来られた相談者に対して、こちらができる選択肢を提示して、前向きに考えられるようになったときに「あそこに行けば、なんとかなる」という場所を提供しているんです。ホームレス問題を知っただけで終わりにしたくなかった──。その強い思いを原動力として、知ったからこそやるべきことに挑み、必死に取り組んできました。今後もホームレス支援のあり方を模索しながら、挑戦を続けていきます。

 

取材・文:百瀬康司 写真:Homedoor