売れない芸人は「真綿で首を絞められるようなもの」
── そんな苦しい時間をともに過ごした相方の関さんとは、東京アナウンス学院で同級生だったとか。
山本さん:はい。関とは、出会ってもうすぐ30年です。最初はクラスが違うこともあって特に仲よくはなかったんです。でも「コンビを組んで」って先生から言われたときに、みんな仲のいいグループ同士で組んでたんだけど、僕はピンとくる人がいなくて。たぶん関も同じ状況で、僕と関がポツンとなっちゃった。それで、残った同士でコンビを組むことになりました。だから最初は、お互いしっくりきていなかったと思います。

── 最初はしっくりこなかったのに、結局コンビは25年以上続いています。とはいえ、先ほどのスランプのころは、漫才やコンビを続けるのがしんどかったのでは?
山本さん:2005年の『M-1』ショック以降、同期で売れていく人が増えていくのに、自分たちは真逆でしたからね。「あれ?仕事が週4日に減ってるな」から最終的に「今週6日休みか、どうしよう」になっちゃって。
売れないときって、真綿で首を絞められている感じなんですよ。自分たちが勝手に始めたことだし、何か大きな失敗して明日からやっていけなくなった、みたいなことでもない限り、やめるラインを引くのは難しい。だから、関とは「どうする?」って何度も話し合いました。
でも、スランプの時期にも多少仕事はもらえてて、お客さんの笑いが取れていた感覚はあったんです。やりたいことができないとか、尖った部分があるタイプだったら余計に苦しかったと思うんですけど、僕らにはそれもなかった。そういう僕らの尖ってない感じが、巡り巡って時代にマッチしはじめたから、どうにか続けられている気がします。
── 山本さんのピンでの活躍が増えている現状を、関さんはどう思っているんでしょう。
山本さん:嬉しいんじゃないですかね。2人が同じバランスで前に出られるほうが好都合だし。そのためにピンの仕事を受けて、コンビに還元している気持ちもあります。関も自分が矢面に立って「ゼロイチでボケろ」って言われるよりも、僕がイジられてきっかけができるほうがやりやすいんじゃないかなと。
関とは、この26年で関係性が変わってきた気もします。ただ、仕事きっかけで徐々に仲よくなっていったから、完全な友達や親友ではないんですよね。プライベートでも遊ばないし、用事がなかったら連絡もしない。向こうも家族をもっていますし。なんか特殊ですよね。夫婦でも男友達でもなく、完全なるビジネスパートナーでもない。でも繋がりは深い。不思議な存在です。