26年を経て気づいた「ありのままの100点」
── 当時から26年が経ち、美貴さんは現在、アーティストとして活躍されています。
高田さん:あのころを振り返ると、本当に毎日が必死で、先のことなんて考える余裕もありませんでした。でも、周りの温かな見守りの視線と、一つひとつの努力の積み重ねがあったからこそ、少しずつ道が開けていったのだと思います。
美貴は中学に入って絵の才能が花開きました。ただ、あのとき、母が言った「金の卵」という言葉。それは才能のことではなく「この子自身の価値」を指していたのだと、今ならわかります。親がわが子を信じ抜くこと。その積み重ねが、今の美貴の歩みに繋がっているのだと感じています。
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不安と戸惑いから始まった、美貴さんとの時間。しかしその後、高田さんを救ったのは、実母が放った「この子は金の卵」という、根拠のない全肯定の言葉でした。
私たちはつい「仕事の結果」や「周りとの比較」で自分に点数をつけてしまいます。けれど、あなたが今日まで必死にやってきたこと、大切にしてきた想い。そのプロセス自体に、本当は100点満点をあげていいはずなのです。
焦らなくて大丈夫。自分を信じて「待つ」という静かな勇気が、明日を少しだけ軽くしてくれるのかもしれません。
取材・文:佐藤有香 写真:高田敦子 注:高田さんの高ははしごだかが正式表記