「こんな未来は夢にも思わなかった」。ダウン症の長女・未知子さんが人気ブランド「BEAMS」とコラボしたことに、父・高嶋弘之さんは驚きを隠せません。亡き妻と施設を巡り歩いた葛藤の日々。伝説のディレクターが、娘の才能に「もっと早く気づけたら」と悔やむ理由。今も胸に残る妻への想いと共に伺いました。
「もっと早く気づけたら」ダウン症の長女のプロとしての価値
── ダウン症の長女・未知子さんが、セレクトショップ「BEAMS」とタッグを組んで商品を販売しました。就労支援施設で働く方が手がける「LOVE RABBIT」といううさぎのぬいぐるみをモチーフに、未知子さんが手作りしたうさぎのぬいぐるみがプリントされたTシャツやバッグなどが人気を集めているそうですね。
高嶋さん:未知子が勤務先の就労支援施設で作っているうさぎのぬいぐるみを、次女のちさ子のコンサート会場で販売して人気になったのがきっかけでした。でもまさか自分でモデルまで務めて完売するなんて。BEAMSの方が、未知子の感性を尊重して素晴らしいものにしてくれました。

── 未知子さんの才能に気づいたのはいつ頃でしたか。
高嶋さん:かなり遅かったです。未知子は小学3年生まで普通学級にいたのですが、学習面などでついていくのが難しくなり、特殊学級(現在の特別支援学級)がある小学校に移りました。その後、中学で、愛泉会という社会福祉法人の施設に出会ったのが転機でした。「障がいがある子が作ったものを、同情で買ってもらってはいけない。プロとして価値のあるものを」という施設の方針に夫婦で感銘を受けて。
未知子は施設の活動のなかで、陶器作りや生花、反物づくりなどをしていたのですが、どれも素晴らしく、もっと早くこの才能に気づいてあげられたらという思いはあります。当時はダウン症に関する情報が少なく、この施設に出会うまで、まさか未知子に「何か才能がある」という視点を持てていませんでした。だから、街でダウン症のお子さんを持つご家族に会うと、つい「どんな才能があるかわからないから、しっかり見てあげて」と話しかけてしまうんです。