「愛人たちも父を悪く言わない」憎まれなかった理由

野沢直子
野沢さん32歳のとき娘と

── よく、晩年になって「過去の過ちを詫びる」といった話を聞きますが…。

 

野沢さん:詫びの言葉はまったくなかったし、悪いとも思っていなかったはずです。でも不思議なことに、母も、父の愛人たちも、誰も父を悪く言わないんです。おそらく父なりに愛情を注いでいたのか、あれだけ酷いことをしたのに、憎まれることはなかった。亡くなった後、みんなで父の破天荒エピソードを話して笑い合えるくらい、愛されていたんだなと思います。

 

── お父さんの存在は野沢さんの子育てにどう影響しましたか?

 

野沢さん:反面教師ですが、何より母の影響が大きかったです。母が泣いて父を恨んでいたら、私の人生はまったく違ったはずです。母は何が起きても顔色ひとつ変えず「大丈夫、大丈夫」と言ってくれました。母の思い出は、いつも笑顔なんです。だから私も、子どもの前では何があっても笑っていようと。