「自由をくれる夫」を、どう切り取るか

池田明子さん
「動けるうちに」と、国内外を積極的に旅しているそう

── 反対に、梅沢さんから与えられていると感じることはありますか?

 

池田さん:困った面も多いですが、私にとっては大きな理解者でもあります。人間って「どこを切り取るか」だと思うんです。私が浮気されることよりも嫌なのは、自由を束縛されること。夫の世代だと「女性には家庭に入ってほしい」とおっしゃる方は多いと思うのですが、夫は仕事が遅くなる日も文句を言わず「行っておいで」と送り出してくれます。私が50代での大学院進学を迷ったときも、「行ったほうがいいんじゃない?」って、迷いなく背中を押してくれました。

 

── 梅沢さんから「支えられている」と感じることが多かったんですね。

 

池田さん:実父が脳溢血で倒れたときのことです。上の子がちょうど1歳になったころで、家庭と介護、仕事をこなすのはあまりに大変だったのですが、夫が「家のことはやるから、パパ(池田さんの父)のほうを見てあげなさい」と言ってくれて。あの言葉は本当にありがたかったですね。

 

夫はもともと料理が好きでしたが、その頃から子どもたちにご飯を作るようになりました。後にテレビ番組『愛のエプロン』でチャンピオンになるほど腕を上げたんですが、きっかけはあの時期だったと思います。

 

後々、夫が私の母とこう会話しているのを聞きました。「面白いもんですよね。明子がパパの仕事をやることになったから、俺が料理をするようになって、それが番組で役立つにんだから。世の中わからないね」って。

 

──「結婚してよかった、ありがとう」と言われたこともあったそうですね。

 

池田さん:夫の身内の会社で経理上のトラブルがあり、もともと夫の仕事の経理や財務を見ていた私が、頼まれて整理し直したことがあったんです。そのときに夫が、「明子と結婚してよかったよ。ありがとう」と。嬉しかったですね。

 

夫は経営や財務のことが本当に苦手で、「経営のことは何もわからない」とよく言っています。でも人には得手不得手がありますからね。私はそういう部分を担っている。だから最近では「お願いだから、自分より1日でも長く生きてくれよ」と言われています(笑)。

 

 

「浮気されることよりも、自由を束縛されることの方が嫌」。 池田さんは、相手の欠点だけを見て裁くのではなく、自分にとって何が大切なのか、その「境界線」を静かに見極めてきました。

 

パートナーシップは、白黒はっきりつけることだけが正解ではありません。相手の嫌な面をすべて許すのではなく、自分の心が波立たない場所をどこに作るか。その選択の積み重ねが、自分自身の平穏を守る鍵となります。

 

あなたは今、相手の「どこを切り取って」向き合っていますか? そして、あなた自身の平穏を保つために、「境界線」を大切にしていますか?

 

取材・文:石野志帆 写真:池田明子