サンプル数は30〜40も検討。「160キロ」との戦い

投手用サポーターには、ネジ巻き式のワイヤー構造を採用。日々のコンディションに合わせて強度が調節できる仕様を目指しました。しかし、時速160キロの剛球を投げる「怪物」が相手では、これまでの経験は通用しませんでした。

 

「ファーストサンプルが破壊されたとき、メンバーは絶句しました。かなりの強度がある部材が、根本から剥がれ、折れていた。そこから縫製をイチから見直すなど、さらなる挑戦が始まりました」

 

大谷選手とのコミュニケーションは極めて密でした。サポーターが壊れたときの状況を細かく伝え、みずから動画を送って「このタイミングでこう力が加わったからではないか」と仮説を共有。試作は計10回、検討されたサンプル数は30〜40にも及びました。

 

「月1回のペースで試作品を中国・大連の工場で作り、日本で検証し、ロサンゼルスの大谷選手に届けました。物理的な距離があるので気軽に『ちょっと試しましょう』とはいきません。そのため、1度はロサンゼルスに製品機材を持って赴き、宿泊したホテルでも修正して試作品を渡したこともあります。その際、大谷選手から『1日でここまで修正できるなんて、すごいですね』と労いの言葉をもらい、チームの疲れも吹き飛びました」