50歳からの挑戦に掛けて

── 4年間に及ぶ全試合観戦という前人未到の活躍を続けるなか、2026年いっぱいで今の活動にいったん区切りをつけるそうですね。

 

ミニタニさん:今年で50歳になります。大谷選手の契約はあと8年ありますが、最後まで追うと僕は58歳。大谷選手が全力で戦う姿を特等席で見続けてきたからこそ、自分自身と向き合うようになりました。「僕も、頭と体が動くうちに、人生最後のチャレンジをしなければ」と。

 

── 大谷選手の生き方に触発された、と。

 

ミニタニさん:はい。大谷選手を観戦し続けたことは大きな自信にもなりましたし、野球一筋の大谷選手を見習い、僕も仕事(寿司店)にその執念を注ぎました。2024年にプロデュースした寿司店『Mori Nozomi』は、一日一回転、お客さんは8人だけ。開店当初は週2回しか営業しないなど、とにかくブランドをつけたんです。その結果、2025年にミシュランを獲得することができましたが、女性寿司職人のミシュラン星は米国で初の快挙となりました。

 

今後は店だけにとどまらずキッチン用品にもチャレンジしたいですし、アメリカは日本に比べて醤油やソースなど種類が少ないので、そういったジャンルにも手を広げていきたいですね。野球もそうですが、食も言葉を使わなくても人を魅了することができるのはいいなと思っています。

 

応援してくれる方もいるので活動をすべて辞めるわけではありませんが、「全試合観戦」という偉業で得た自信を武器に、次のステージへ進みます。大谷選手を見続けた4年間は、僕に「自分の夢を託す勇気」をくれました。

 

 

大谷選手の生き方を特等席で浴び続けた4年間。そこで得たのは、単なる思い出ではなく「自分もまだ戦える」という静かな情熱でした。誰かの背中を追いかける時間は、いつか「自分の人生を歩むための勇気」に変わる。50歳を迎えたミニタニさんの引き際は、妥協ではなく、新しいステージへのプレイボールなのです。

 

あなたは今、誰かの活躍に勇気をもらっていますか?そしてその勇気を、いつか「自分の夢」へと変える準備はできていますか。

 

取材・文:松永怜 写真:ミニタニ