「それは違う」と言えるのは私だけ。夫に渡した3枚の券

── 2024年には夫の鈴木おさむさんが放送作家を引退されました。
大島さん:うれしかったですね。放送作家として、ゼロからイチを生み出す大変さを間近で見てきて、このまま続けたらいつ死んでもおかしくないと思っていたので。だから「辞める」と聞いたときは拍手しました。「おめでとう。よかったね」って。
── そのとき、大島さんが渡した「3枚の券」が話題になりましたね。
大島さん:命を削って仕事をしてきたので。それに見合うプレゼントをって考えたら、物じゃないなって。私の覚悟をあげたいって思ったんです。だから「一生足のマッサージ券」「一生味方でいる券」そして「一生、それは間違っていると本音で言える券」を渡しました。50歳を過ぎた相手になかなかそれは違うよって言いにくいだろうし、軌道修正してあげられるのは私だけですから。
── 第二の人生を歩み始めた旦那さんとの生活も、もうすぐ2年になります。妻から見て旦那さんの生活はいかがですか?
大島さん:今は外に出る機会が増えて、前より顔を合わせる時間は減ったかもしれません。でも、作家という肩書きを脱いで映画を純粋に楽しむ夫の姿を見て、私もうれしくなるんです。この先も、お互いが自分の足で元気に歩きながら、家族で笑って過ごしていけたらいいなと思っています。
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「知らない人」だった他人が、24年を経て「一生の味方」になる。 幾多の困難を越え、夫の第二の人生に寄り添う大島さんが渡した3枚の券。それは、何があっても逃げないという妻の「覚悟」でした。人生の転機を迎えたとき、あなたは大切な人に何を届けますか?
取材・文:松永怜 写真:大島美幸