「離婚してくれて良かったな」と言える訳

── お母さんは自分にないものを持っていると。

 

あんりさん:そうですね。母の自由奔放なところは娘の私から見ても格好いいと思うし、おまけに母は結構モテたんですよね。母の歴代の彼氏はほとんど会ってきたと思いますが、相手が途切れたことがなかったんじゃないかな。母は私たち家族のことも全然隠さずにパートナーに話をしていて、私が泊まりに行った時も普通に家にいたし、私もその人に会ってまったく嫌な気持ちにはならなかったですね。父も母もそれぞれパートナーがいて、変な話ですけど、兄の彼女に会うときとあまり気持ちが変わらないような感覚でした。

 

両親は私が幼い頃に別々の人生を選択しましたが、変な言い方かもしれませんが「離婚してくれて良かったな」と思うこともあるんですよ。夫婦として合わないなら、違う道を選んだ方が健全だし、離婚=不幸とは限らない。たとえば離婚して自分が好きな人と一緒にいるとか、仕事に夢中になるとか、自分が自分らしく生きる方が幸せだと思うし、何かを無理をして我慢して生きるより、よっぽど人生が充実すると思うんです。母を見ていると常に自分に正直で自由に生きていて。娘ながらに母が選んだ道は正解だったと思うし、そんな母を見て誇らしくも思います。

 

── 母の愛情もずっと感じてきて。

 

あんりさん:母の元気な部分は大好きですし、離れて暮らしていても、母の愛情はずっと感じてきて、絶対的な安心感がありました。自分も誰かにとってそんな存在になれたらいいなと思いながら、これからも明るく楽しく過ごしてほしいと思っています。

 

 

娘のために黙って赤飯を買ってきた父。そして、離れていても「自分らしく生きる姿」を見せ続けた母。あんりさんが語る両親の物語は、愛にはいろいろな形があることを教えてくれます。

 

あなたが大人になってから、あるいは親になってから気づいた、あの時の「親の本当の思い」や、不器用な愛情のエピソードはありますか。

 

取材・文:松永怜 写真:あんり