明るくポジティブな母の愛に恩返ししたい

緑川静香
毎年、母の誕生日は大きなケーキで盛大にお祝いをしている

── SNSにはお母さんのお誕生日を毎年盛大にお祝いする様子の投稿がありました。お話を伺っていると、いかなる環境でも明るいお母さんの存在は大きかったのではないでしょうか。

 

緑川さん:それは大きいです。いちばん極貧生活をしているときでも、母はとにかく明るくて、楽しい思いをさせてくれていたので精神的に悲しいことはありませんでした。

 

クリスマスのエピソードなんですが、小学生のとき母がひと切れのチョコレートケーキを買ってきてくれたんです。普段なかなかケーキなんて食べられなかったので「やったー!!」って喜んでいたら、天井裏にいたネズミがちょうど駆け回って、上からほこりがファサーっと降ってケーキにかかっちゃったんです。私は目の前のご褒美を取られた気持ちで大ショックでしたが、母が「うわー!やったね、ホワイトクリスマスになったね」って言ったんですよ。白いほこりを雪に例えて。

 

そうなると、子どもですから楽しくなってくるんですよ。「そうなんだ。これは楽しいことなんだ」って(笑)。普通だったら「何でこうなったの?」とか、マイナスに行きそうなところですが、プラスに変える力がある母は「すごいな」って思いますね。

 

── お母さんこそ、娘に食べさせたい一心で用意したものだったでしょうから本当はショックだったのではと思いますが、プラスに転換するポジティブさは素敵ですね。立派に成長された今でも強い絆があるのは、そうしたお母さんの愛がたくさんあったからでしょうね。

 

緑川さん:愛はすごくありました。してもらったことは全部覚えていますし、大人になればなるほど母がどれだけ大変だったかということも実感しています。たしかに貧乏すぎて上を向くしかありませんでしたし、グレる余裕はなかったのですが(笑)。でも母は温かくて…だから幼いころは母を助けることが何もできないのが悔しかったですね。高校生になって、アルバイトができるようになってすごく嬉しかったのを覚えています。

 

今は母にはとにかく好きなことをしてお金を気にせず楽しんでほしい思いがあり、今まで頑張ってきてくれた母の誕生日は盛大にお祝いしています。幼いころは、みんなで砂でつくったケーキでお祝いして、主役が最後に砂のケーキを崩すっていうわが家のルールがあって、それもすごく盛り上がったんですけど。

 

今は本物のケーキです。毎年1年分のお金を誕生日につぎ込むくらい盛大に、大きなケーキを買って誕生日をお祝いしています。それで毎回ふたりで泣いてカオスな状況になりますが(笑)。母の推しのK-POPアイドルの写真入りデコレーションケーキでお祝いしたらすごく喜んでくれました。