先に私に言ってくれていたら
── 茅原さんのお話を聞いていると、夫婦でべったりではなく、いい距離感を保っている印象がありますが、ご自身ではどう思いますか?
茅原さん:夫婦といっても「この人がいないと生きていけない。この人がいなくなったらどうしよう」といった感覚はもともとなかったですね。夫の稼ぎがなくなっても自分で稼げばいい。笠井は私にとって大きな存在です。でも、夫婦ってそもそもお互いが自分の一部分ではあるけれど、半分ではないと思っているんです。
私の精神的な支えはいくつかあって、趣味や友達が中心で、子どもたちも少しあるかな。そうした私を支えてくれるなかのひとつとして夫がいる。こういうと冷たく聞こえるかもしれないですが、笠井は死なないだろうと思っていたから、こう言えるのかもしれませんね。でも、いつも周りの人たちに支えてもらっていましたし、笠井が病気になる前から今の距離感でいられたのはよかったような気がします。
また、夫は悪性リンパ腫に続き帯状疱疹を患いました。夫の病気を経験して思ったのは、夫婦でも、信用できる友達でもいいですが、体に違和感があったら誰かに情報を共有すべきだと思うのです。夫の帯状疱疹も、もし早めに私に伝えてくれていたら「帯状疱疹かもしれないなら、すぐに皮膚科に行ったほうがいい」と伝えたと思うし、もう少し症状が軽かったかもしれない。「たいしたことじゃない」「心配させたらいけない」と思って、情報を共有しないことはリスクでもあると思うし、これからも夫には情報を共有してほしいと思います。
私のことで言うと、彼の病気を機に人間ドックに行くようになりました。夫は毎年人間ドックに行っていましたが、私は病院が嫌いで避けてきたんです。まずは健康でいること。そのうえで、おいしいものを食べて、運動して、たくさん笑って、家族で豊かな時間を過ごせていけたらいいなと心から願っています。
…
「無理をしないで」という大切な人の言葉が、忙しさの中で届かなくなってしまう。そんな経験は、誰にでもあるのかもしれません。みなさんは、大切な人のために「これだけは守っている」という健康への向き合い方はありますか?
取材・文:松永怜 写真:茅原ますみ