地方は車社会「免許返納」だけが正解でない
── それでも生活の一部だった車を手放すとなると、不安もあったと思います。返納してから生活はどう変わりましたか?
Mr.マリックさん:もちろんためらいはありましたが、いざ返納してみると全然ラクです。もともと仕事のときは、事故など「万が一があってはいけない」と考え、自分では運転せず車で移動することが多かった。だから、生活の変化は思ったほど大きくなかったんです。
それに車ってコストがかかるでしょう。車検もあるし、都内なら駐車場もすごく高い。映画を観て食事して1日過ごすと、その間の駐車場代だけで1万円近くかかる場所もある。駐車場を探す手間も含めて、そういうストレスがなくなったのは大きいです。今はカーシェアという便利なサービスもありますしね。あれがもっと浸透したら、車を持たなくてもだいぶラクになりますよ。
── 返納がきっかけで、新しい「縁」も生まれたそうですね。
Mr.マリックさん:メディアで「タクシーって便利ですよ」とお話ししていたら、UberタクシーのWeb用CMのお話をいただいたんです。「きてます」と言うと、タクシーが現れるCM。返納したことで新しいお仕事までいただけて感謝しています。今はタクシーも非常にクリーンで便利になりました。昔と違って近距離でもドライバーから渋い顔をされないし、電子マネーも使えるから、「1万円札しかないですけど、いいですか?」とおつりを気にして乗る必要もない。時代が変わったなと感じます。
── いっぽうで、都会のように交通網が発達していない地方では、返納はより切実な問題ですよね。
Mr.マリックさん:そこが本当に難しいところですね。私の場合は東京にいて、交通環境に恵まれているから「返納してよかった」と言えますが、地方に行くと病院や買い物に行くにも、車がないと生活が成り立たない地域はたくさんあります。
代わりの足がないまま免許を手放してしまったら、お年寄りは外に出られず、社会から孤立してしまう。だから、いちがいに「高齢者はみな免許返納すべき」とは言えません。私の話はあくまでひとつの例で、地域や家庭の事情に合った解決策が必要だと感じています。