今年こそ「クフ王の墓」を見つける思い
── 現在取り組まれているのは、長年の夢であり念願としてきた発掘プロジェクトです。古代エジプトを統治したクフ王のピラミッドの謎を解くものになります。
吉村さん:2023年12月、エジプト政府から発掘の許可が下りて始動しました。2000年初頭から20年にわたって、発掘権の申請を続けてきたので、ようやくそのときを迎えたという感じですね。「ピラミッドは王の墓」というのが通説ですけど、私の考えは違って「墓ではなく、象徴物なのではないか」と思っている。クフ王のピラミッドに隣接する今回の発掘現場で王の墓を発見すれば、その通説を覆すことができます。長年、目をつけてきた場所なんです。
発掘権を得た後、イギリス・ロンドンの墓地に眠る先駆者の墓参りをしました。エジプト考古学者で、私の憧れの人でもある、ハワード・カーターさんのお墓です。私がツタンカーメンの墓を発見したカータンさんの本を読み、エジプト考古学者を志したのが小学4年の10歳のころ。自分も「いつか世界を驚かせたい」と考え、クフ王の墓の発見を夢見てきたんですよ。カーターさんには「あなたが見つけたものより、もっとすごいものを見つけるので、心配しないください」と伝えてきました。心配なんかしていないでしょうけどね(笑)。

── 現在82歳(2026年1月15日の取材時)。エジプト考古学者人生の集大成といえるプロジェクトは順調に進んでいますか?
吉村さん:今年は1〜2月、3〜4月、6〜7月と、3回にわたって掘り進めていきます。もちろん、私もエジプトの現場に行き指揮をとりますよ。いまの状況を踏まえると、3月、または6月からの発掘にチャンスがあると読んでいます。
クフ王の墓が見つかったら、世紀の大発見ですよ。世界中の教科書を書き換えなければならない。ピラミッドは王の墓だって書かれているわけですからね。夢の実現を想像するだけでワクワクします。大スクープを期待していてください。
取材・文:百瀬康司 写真:吉村作治