1966年からの現地調査は60年間に計300回。発掘に投じた費用は総額125億円。天文学的な金額を費やしていた壮大な夢は結実へ。エジプト考古学者・吉村作治さんが小学4年生から夢見た「クフ王の墓」の発掘調査は、まさに今、最大の山場を迎えています。「今年の発掘がカギになる」と、80代の吉村さんは子どものような眼差しで、取材の最後にニヤリと微笑みました。

1回の発掘調査の費用は約1000万円

── エジプト考古学者として日本やエジプトだけでなく海外でも知られる吉村作治さん。歴史的な発見や発掘を数多く達成し、世界中を驚かせてきました。とはいえ、発掘にかける機器やスタッフなど、その費用も気になるところです。実際、エジプトでの発掘調査には、どの程度の費用がかかるのでしょうか?

 

吉村さん:1回の調査にかかる期間は1〜2か月程度です。その間、トータル1000万円くらいの資金を必要とします。発掘に使用する最新機器の費用をはじめ、作業員たちの人件費、調査隊員らの日本からエジプトまでの飛行機代、活動費など。カイロに住み込みできる宿舎(ワセダハウス)が1976年に完成して以来、滞在中の宿泊費はほぼかかりません。

 

ただし、発掘を行う権利にもお金がかかります。一昨年までは無料だったんですけどね。エジプトで発掘をしたがる人が年々増えてきたからだと思います。私が直近のプロジェクトで支払ったのは2万ドル(約300万円)です。

 

吉村作治
チャイ(未盗掘の古代エジプト人ミイラ棺/木棺)の発掘に立ち会う吉村さん

── 1966年からエジプトの調査を始め、この間300回ほど現地を訪れたとのことですが、これまで発掘調査に投じた資金の総額は想像もつきません。

 

吉村さん:おおよそ125億円です。なぜ明確に数字を言えるのかと、不思議に思うでしょう。じつは最近、国のほうから「いままでの発掘調査にどのくらいの費用がかかりましたか」と、質問され、計算してみたので、ハッキリと言えるんです。驚きの額かもしれませんが、発掘にそれだけ莫大な資金を要するのは事実なんですよね。