45年ぶりに訪れた刑務所も
── 刑務所慰問とはどのようなものなのでしょうか?
鳥羽さん:私は歌手ですから、歌で思いを伝えることを慰問としています。刑務所によって異なるところもありますが、午前中の公演を基本とし、使えるのは1時間余り。受刑者を前に、10曲くらい歌って終えるという流れです。北海道から九州まで、これまで保護司として全国各地の刑務所を訪れました。男子の刑務所はもちろん、女子の刑務所や少年院にも足を運びました。
ある刑務所では、1日3回公演したこともありましたね。一般のコンサートさながらです。慰問終了後にはたいてい、受刑者手作りの品をいただきます。木彫りの置き物やネクタイピンなど、その土地にちなんだものが多い。丹精込めて作られたものなので、大切に保管していますよ。

── 各地の慰問先は胸に刻まれていると思います。なかでも印象に残っているところをひとつ挙げるとしたら?
鳥羽さん:最近でいえば、岐阜の笠松刑務所でしょうか。ここは45年余り前、船村先生のつき人時代に訪れており、先生が同刑務所に贈った『のぞみ(希望)』(1986年)という歌を最初に発表した場所でもあります。その歌は船村先生の作詞・作曲で、受刑者の心情がストレートに表れています。先生は、ギターを弾きながら約400名の受刑者にこの歌を熱唱されたんです。みんな、すすり泣きして先生の歌に耳を傾けていました。その光景はいまも忘れられません。
そうした場所に40年以上ぶりに今度は自分が立ち、先生の『のぞみ』などを歌ってきました。当然ながら受刑者はこの歌も、船村徹の名も知らないため、経緯を説明したうえでの慰問でした。私にとっては感慨深かったですね。