子育てに対する迷いは

── 初めての子育てで「これでいいのかな」と迷った時期はありましたか。
千秋さん:あまりないですね。どんなお母さんもひとり目は初めての子育てですから、成功するかどうかはわかりません。いくら「正しい子育て」をしたところで、子どもの素質や組み合わせもあるから、結局はやってみないとわからないと思っていました。自分が「いい」と思うやり方で育てて、その結果が正解か不正解かは、娘が大人になったときにわかること。だから深く考えすぎないようにしていました。人に迷惑をかけない子であれば、それで十分だと思っていました。私はやれることをやって、あとは娘を信じて見守ろう。そう考えていました。
── 子育ての結果を全部背負いこまない。その潔さはどこから来るのでしょう?
千秋さん:こうならないといけないとか、こうなってほしいとか、子どもをコントロールしようという気持ちはあまりなかったです。ただ、「自分を大切にする意識」だけは、しっかり伝えなくてはと思っていました。女の子の親として、娘に『自分を安売りしないで大事にする』という価値観だけは持っていてほしいとは、ずっと思っていましたね。
── 今の時代、スマホやSNSなど親の目が届かないところでさまざまな情報に触れる機会が多いと思います。そうしたなかで、どうやってその「自分を守る感覚」を伝えていったのですか?
千秋さん:うちはスマホに制限をかけたりはしていません。代わりに、世の中で起きた事件や、騙されてしまった女の子のニュースについて、とことん話をしました。「こういう事件があったんだって。どう思う?」と一緒に考えます。娘にはもちろん、しっかり理解、納得するまで話しますが、「ダメ」と押しつけるのではなく、自分で「気をつけよう」「危ない場所には近づかないようにしよう」と判断できるように促しました。結果として、娘自身が高い危機管理能力を持つようになったと思います。
取材・文:西尾英子 写真:千秋