飛行機代がなくて始まった同棲生活

はなわ
なかなか芽が出なかった下積み時代

── 中学生のころはチャラいと嫌がられていたのに、はなわさんに対する奥さんの印象は大きく変わりましたね。

 

はなわさん:本気で芸人を目指して東京でがんばっている姿に、すごいと感動してくれたようです。当時は夢を叶えるために佐賀から福岡に行く人はいても、東京に行く人ってあまりいなくて。それだけ僕が本気だということに、心が動いたみたいです。披露宴では余興をやってスベったのですが、妻だけは「すごい!おもしろい」と思ってくれたみたいですね。

 

── しばらくは遠距離恋愛だったのですか?

 

はなわさん:そうですね。妻は働いていて僕よりは金銭的に余裕があったので、たまに佐賀から東京に来てくれました。僕も最初に妻が東京に来るときは張りきって、どこでデートしようか調べていたら、友人からお台場がいいらしいと聞いて。それでお台場に連れて行ったのですが、その当時は今のような観光地ではなく、まだ更地だったんです。商業施設やテレビ局などができる前で本当になにもなくて、土管に座ってふたりでおしゃべりをしました。

 

僕もカッコつけたいから「あえてここに来たかった」ふりをして、バレないようにしていましたね。妻はなんでここなのか不思議に思ったようですが言い出せなかったらしく、いまだに「あれはなんだったの?」と聞かれます。

 

── 遠距離恋愛はどれくらい続いたのでしょう?

 

はなわさん:1年くらいだと思います。遠距離だとそこまで頻繁に会えるわけではないので、帰ってしまうとすごくさみしくなるんですよ。ある日、帰ったばかりなのに「すぐに会いに来てほしい」と伝えると、妻からさすがにそんなに頻繁に行けるお金はないと。僕は手元にお金がないのにもかかわらず、「帰りの飛行機代は払うから来てほしい」とお願いしたんです。若気の至りですね。

 

それで会いには来てくれたけれど、いざ帰る段階になったら渡すお金はないわけですよ。妻も「どうするの?」とあきれていたのですが、そこで「帰らなくていいから、このままうちにいなよ」と引き留めて、東京で一緒に暮らすことになったんです。