診断は自分にとってポジティブな変化だった

中山功太
焼肉でパワーをつけてお笑いライブへGO

──「しゃべりすぎる」という特性以外で、これまでに周囲から指摘されたことや、自覚症状はあったのですか?

 

中山さん:小学生のころの通知表には、「もっと落ち着きましょう」と毎回書かれていました。今思い返せば、授業中に突然しゃべり出したり、立ち上がったりするなど、ADHDの「多動」の傾向が強かったように感じています。

 

また、子どものころから自分の部屋が片づけられず、大人になった今でも、家はゴミ屋敷状態。この「片づけが苦手」という性格についても、「不注意」や「衝動性」などから由来するADHDの特性のひとつだということが、検査を受けてから理解することができました。

 

ほかにも、以前から悩んでいた「遅刻癖」が、ADHDの特性だったということも明らかになって…。

 

── どのような特性が、遅刻の原因になっていたのでしょうか。

 

中山さん:ADHDは、時間感覚があいまいになってしまったり、計画を立てることが苦手だったりするそうです。僕の場合は、仕事の集合時間を告げられても「時間に間に合うように計画を立てられない」という状態で…。

 

前もって携帯のアラームをつけていても、アラームを消した後にすぐに仕事に向かうことができず結局、遅れてしまうことが。遅れた理由を聞かれても「時間の感覚がわからなくて…」とは言えず、「朝までお酒を飲んでいて、寝過ごしました」と無理やり言い訳を作ったこともありました。

 

ひどいときには、飛行機のチェックイン時間に間に合わず、仕事現場に何時間も遅刻してしまったこともあって…。たくさんの人に迷惑をかけてしまったと、今でも反省しています。

 

──「計画が立てられない」「時間の感覚がわからない」という特性が、「遅刻」という形で表れてしまったのですね。特性を理解してもらうために、周囲に相談したことはありましたか? 

 

中山さん:理解してもらったとしても、迷惑をかけていることには変わりないので、相談したことはありません。でも診断を受けたことで意識が変わり、「現場に2時間前に到着する」というマイルールを設けました。「集合時間」に注目するのではなく、「集合の2時間前」に意識を置くことで、遅刻を予防しようと考えたんです。以来、遅刻をすることはなくなりました。

 

ADHDの特性は、ほかの人から見たら、「怠惰」とか「サボり」に見えてしまうのが難しいところだなと感じています。ただ、周りから理解されなくても、「自分が理解することで、改善につなげられる」という事実を知ったことは、自分にとってポジティブな変化だと感じています。