師匠の勧めで挑んだ「親子漫才」でひと波乱

── 中川さんとお母さんで、「親子漫才」に挑戦したこともあったそうですね。
中山さん:はい。母が芸人として活動を始めて、5年目くらいのころでした。大助・花子師匠から「ライブで親子漫才をしてみないか」と声をかけていただいたんです。「母親だけど、芸人としては後輩」という位置づけに、複雑な思いはありましたが、せっかくいただいた機会なので、「挑戦してみよう」と何度もネタ合わせをして当日に挑みました。
しかし、リハーサル直前、母と険悪な状態に…。母が会場のスタッフさんにタメ口で話しかけているのを見てしまった僕が、「その態度はないだろう!」と強く叱ってしまったことがきっかけでした。「ここで漫才ができるありがたみをわかっていない。どんな人に対しても、感謝の気持ちをつねに持つべきだ」と怒る僕の言葉を、母は涙を堪えながら聞いていました。
──「芸人の先輩」としての叱責をお母さんに向けたのですね。
中山さん:「先輩」というより、「弟子」のような目線で母を見ていたのかもしれません。周囲に対する接し方なども、自分が正していかなければという、責任感のようなものを感じていたんだと思います。
でも、その様子を見ていた大助師匠に「お母ちゃんにそんなきつく言ったらあかん」って、今度は僕が叱られてしまって…。その日のライブは気持ちを切り替えて無事に終えることができましたが、この出来事が、母との関係を見直すきっかけになったと感じています。