サッカー元日本代表の中村憲剛さんを支え続けた妻・加奈子さん。プロアスリートを支えながら、3人のお子さんを育ててきました。今年で結婚20年を迎えますが、特に中村さんが現役時代の日常は想像以上にハード。仲睦まじいふたりですが、怒りの頂点に達した日もあったそうで── 。
主人の二日酔いで「実家に帰ります」と置き手紙

── 2020年にご主人の中村憲剛さんが引退するまでは夫婦ともに多忙な日々を過ごしていたと思います。20年間の結婚生活の中で大ゲンカしたことはありましたか。
中村さん:2010年に長女が生まれた後、主人は南アフリカで開催されるワールドカップの事前合宿や大会で2か月ほどいなかったんですが、そのときはお互いの母親が日中、手伝いに来てくれていたんです。ただ、途中からは私のワンオペ状態になり、心身ともにかなり負担がかかっていました。
そんななか、2か月ぶりに帰宅したワールドカップ後のオフに友人家族とマザー牧場に行く約束をしていたので楽しみにしていたんですが、その前日にワールドカップに行った日本代表メンバーでの食事会があり、普段はあまりないのですが、主人が二日酔いになってしまって。出かける当日の朝、起こしても「気持ち悪い」と起きてこれなかったんです。
そこで私はプツンと切れてしまって「実家に帰ります」と置き手紙をして、子どもたちも連れて家を飛び出したことがありました。実際には近所のママ友の家に避難していたので、そこで少し冷静になることができました。実家に帰ったと思った主人が私の母に電話したようで、母から「けんちゃん、反省してるよ」と留守電が入っていて、仲直りしました。
今はケンカはありませんが意見が食い違うことはあります。たとえば子どもたちに、それまでの経緯や過程を見ずにいきなり怒ることがあるんです。主人が帰宅したときに子どもたちがデジタルデバイスを操作していると「ずっと見ていただろう」と怒ったり。「こうに違いない」と思い込んで怒ることがあるので、「それは違うんじゃないの?」といさめることはあります。