「タケノコ王」としてバラエティ番組に登場し、一躍人気者となった風岡直宏さん。昨年タケノコ農家を引退し、タレント活動に転じる発表したのもつかの間、今年、農業を再開。いったい何が起こったのでしょうか。
昨年タケノコ農家からタレントへの転身を宣言も
静岡県富士宮にある直売所「風岡たけのこ園」。テレビのバラエティ番組で話題となったタケノコ王・風岡直宏さんが運営する同園が2024年7月、全国のファンに惜しまれつつ閉店となりました。
「直売所を開いたのは2001年で、23年の歴史に幕を閉じた形ですね。閉店と同時に僕はタケノコ農家からの引退を宣言しました」
タケノコの栽培に情熱を注いできた風岡さん。引退を決断したのには当然ながら理由があります。
「いちばんの理由は、タケノコ農家として身体を酷使してきたことによる肉体の限界です。おいしいタケノコを作るには手入れが欠かせません。約5000坪の竹林に年間300日以上入ってひとりで園を管理する必要があるうえ、収穫には非常に体力を使います。
長年の過酷な労働で両手のしびれがひどく、以前から痛めていた右足首の傷が悪化して軟骨がほぼなくなってしまって。医者に言わせると、引退するのが遅すぎるという話でした。いっぽうでタケノコの需要低迷も一因です。売上が減少し、このままでは次の世代にバトンタッチできない。断腸の思いでタケノコ農家を引退し、新たなステージに進もうと決断しました」

当時50歳。タケノコ王・風岡さんが次のステージに選んだのは芸能界、「農家タレント」への転身でした。
「タレントが農家の仕事をやることはあっても、農家の人間がタレントになった例はないはずです。日本人メジャーリーガーのパイオニアである野茂英雄さんのように、農家から芸能界に進出した第一号に、オールドルーキーの僕がなってやろうと考えました。
目的は、タケノコをはじめとした地元・富士宮の農家のPR活動です。おいしい農作物を作ろうと必死に頑張っているのに、農家の多くは食べていくのが難しい。僕がメディアを通じてその現実を発信し、地域の特産品などを紹介することで、少しでも農業に関心を持ってもらいたい。地元の農業を盛り上げ、地域貢献していくのが僕の願いなんですよ」