世界的サーカス団は、子守もアクロバティック

── 家族ぐるみで交流する機会もあるのでしょうか?

 

池田さん:日曜日が「家族デー」となっていて、普段は私たち団員がトレーニングしているテントに家族が来て遊べたり、そこで社食も振舞われたりするんです。親たちに教えてもらって、子どもたちが宙づりになって遊んでいます。息子も赤ちゃんのときに、パフォーマーに抱っこされながらトランポリンでクルッと回って遊んでもらったことがあります。

 

── 赤ちゃんを抱っこしてトランポリンで回転?

 

池田さん:サーカス団員でプロなので、どうしたら安全にできるかわかっていますし、彼らにとっては極めて普通のアクションなんですよね。トランポリンを横に並べて、子どもをポンと投げてキャッチし合うなど、一般の人が見たら驚くようなこともできてしまいます。

 

── アクロバティックな子守ですね(笑)。

 

池田さん:「手元のストラップを離したら落ちてしまうから、しっかり持つように」と説明すると、子どもたちはしっかり理解してくれます。結構、高さのあるテントの天井付近をグルグル回っている子もいましたね。

 

── 所属していた「キュリオス」というショーは、19世紀の産業革命の時代を彷彿させる舞台で、風変わりなキャラクターたちが登場します。池田さん演じるクララはストーリーに関わる大事なメインキャラクターのひとりですが、息子さんが感染症などで体調を崩したときは、どうしていましたか?


池田さん:バックアップシステムがあり、普段はアクロバットを担当する方が私の代役を務めます。息子が胃腸炎やインフルエンザになったときはその人に連絡を入れるのですが、子どもができる前はほとんど休んだことがなかったので、とても申し訳ない気持ちになりました。「本当にごめん、明日は息子が体調不良で休むから、バックアップをお願いします」と恐る恐るメールしたのを覚えています。でも、「なぜ謝るの?子どものそばにいるのが当たり前でしょう?」と言われて、拍子抜けしてしまいました。

 

── それはワーキングマザーとしては助かりますよね。

 

池田さん:すごく救われましたね。しかもそういう価値観を持っているのが1人や2人ではなくて、上司も含め全員なんです。プロフェッショナルとして仕事にはげみながら、自分や家族の体調不良に関しては「こちらでどうにでもできるから」という感覚なので、それはすごくありがたいです。