19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター・横峰沙弥香さん。最近、小学生の子どもたちの疑問や悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。息子の「モテたくて何が悪いの?」の発言に戸惑う横峰さんを尻目に、自他共に認める元祖チャラ男の夫がその真髄を見せつけてくれたそうです。

息子の爆弾発言にブルーベリー黒酢を鼻から吹き出し

「生まれてきた以上、モテたいと思って何が悪いの!?」

 

小学5年生の息子・まめが突然そんなことを言い出すものだから、私は飲んでいたブルーベリー黒酢を鼻から吹き出した。誰も悪いなんて言ってないし、そもそも唐突に何なんだ…。

 

思えば息子は、小さなころからいい意味で「周りからどう見えているか」を気にする子どもでありました。とにかく人が大好きで、いろいろな人と仲よくなりたいらしい。行動や振る舞いで迷ったら「ハンサムならどうするだろうか」と考えて、人からより好まれそうな行動をとるようにしているのだそうです。そして、「どうせならモテたい」。

 

 

だけど「モテたい」と言うと、友達からからかわれてしまったらしく、やや不本意なんだそうな。モテたいと思うことは健全な欲求であり、そう思うことは恥ずかしいことじゃないよと伝えるも、「じゃあどうしたらモテるかな」なんて目を輝かせて顔をのぞきこまれると、モテたことなどない私は怯むしかない。

「チャラ男」として生きてきた夫のアドバイスは

こんなときこそ、夫に全投げです。

 

夫によると、モテの極意とはすなわち「自分を知ること」。自分の長所と欠点をきちんと把握して、欠点を自分なりにカバーしつつ長所を最大限に生かす努力を怠らないことが必要なのだといいます。

 

思えば私はモテたいなどと考えたことがありません。子どものころから「誰からも目をつけられず嫌われず、平和に過ごすこと」が第一目標だったので、その先にある「好かれよう」というところにまで考えが及ばなかった。

 

ふと、これがいけなかったのではないかと思い至る。理想とする頂の低さゆえ、努力がたらなかったのではないか?

「モテ」を目指して、身なりから振る舞いまで全方位に気を張って頑張っていれば、その境地に達することこそできなくても、わざわざ目をつけられて「暗くてキモい」などと槍玉にあげられることは回避できていたんじゃないか…と思ったりして。

 

小学生がモテたい話が強すぎて、私のなかで霞んでしまっていたけれど、夫が言う「自分を知ること」って、ものすごく大事なこと。自分の性質を理解して向き合い、長所短所の見せ方を考えて工夫していれば…。私の人生、ずいぶんと違ったものになっていたかもしれません。

 

PROFILE 横峰沙弥香さん

よこみね・さやか。イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。