お笑い芸人・本日は晴天なり(以下、晴天)さんは、勤務先のキャバクラで出会った韓国人男性と国際結婚。38歳で自然妊娠するも子宮外妊娠が判明したのち、本格的な不妊治療を始めます。治療は順調には進まず、2度の流産という悲しい出来事も経験しましたが、昨年無事女の子を出産。「ものすごく長く感じた」という1年半の不妊治療の苦労から得た経験を語ってくれました。(全3回中の3回)
再婚後に子宮外妊娠…手術後に不妊治療を決断し
── 2019年に最初の結婚、翌年に離婚を経験したのち、2022年に現在のパートナーと再婚されたそうですね。最初から夫婦ともに不妊治療と考えていたのですか?
晴天さん:つき合い始めたころから、お互いに子どもが欲しいと言っていました。入籍前から妊活をしていて、わりとすぐに自然妊娠できたんです。そのときは「私の人生、超うまくいってるかも!」なんて思っていました。ところが、それが子宮外妊娠だとわかり、手術をすることに。せっかくお腹に宿った命を産み育てることができないのが悲しかったし、やっぱり簡単にはいかないのだと実感して、すごく落ち込みました。
その後、自己流でタイミング法を試していたのですが、なかなかうまくいかず。不妊治療が保険適用になったタイミングで、入籍して治療を始めました。保険が適用されるようになってからは、女芸人の同僚にも、不妊治療をしている子が増えたように思います。

── 旦那さんは、治療に協力的だったのでしょうか。何歳までとか、何回までというようなやりとりはあったのですか?
晴天さん:夫は宇宙一やさしい人なので(笑)。検査も治療もつき添ってくれました。ただ、39歳から不妊治療を始めた場合、保険適用できるのは6回までなんです。だから、6回目まではあきらめないで続けるつもりでしたし、その後も場合によっては数回、自費でもチャレンジしてみようと考えていました。いっぽうで、夫の知り合いで、家が一軒建つほどの費用をかけたのに、結局子どもに恵まれなかったご家庭があって。そういう話を聞くと、なんとも言えない気持ちになりました。とりあえず保険適用の間は頑張ろうと夫婦で話していました。
── 受精卵の移植から流産も経験されたそうですね。
晴天さん:流産は心底つらかったです。最初の自然妊娠が子宮外妊娠とわかって手術するしかなかったのですが、その後、不妊治療でも2回流産を経験することになって。世の中にこんなにも悲しいことがあるのかと思うほど、しんどかった。でも、どんなにつらくても、そのときはそのつらさが周りには伝わらない感覚がありました。言葉では説明しがたい絶望というか…。
不妊治療自体、毎日決められた時間に薬を飲んだり、注射をしたり、女性ホルモンを補給する貼り薬を貼ったり、肉体的な負担がかなり大きいです。私は不妊治療以外にも不育症のクリニックにも通っていたので、心も体もどんどん疲弊して、余裕がなくなっていきました。流産したときには、まず命を失った悲しみ、そして治療がまた振り出しに戻ってしまったという絶望、今まで費やしたお金と時間がムダになってしまったという喪失感が一気に襲ってきて。治療期間は1年半ほどでしたが、あまりにつらく長く感じて。5、6年くらい経ったような感覚でした。
── 治療中の旦那さんはどのような様子でしたか?
晴天さん:夫は「なにもしてあげられなくてごめん」ってずっと謝っていましたね。私が流産したときも、会社を休んでつき添ってくれました。全身麻酔だったので、術後はしばらくふらついていたのですが、それでもとにかく早く家に帰りたくて。手術後に病院を出たら夫が待っていてくれて…そのときのことを思い出すと、今でも泣きそうになってしまいます。
── そのようなつらい経験を経て、どのように前向きな気持ちになっていったのでしょう?
晴天さん:私と同じような経験をしている方は実は多いと聞いたんです。周りを見渡したとき、何ごともなかったように笑顔で生きている人のなかにも、いろいろな経験をしてつらい思いを抱えている人がきっといる。そういうふうに考えることで、周りの人に思いやれるようになりました。