キャバ嬢として出世した妹に養ってもらっていたことも

── 強いですね!妹さんの上京後、一緒にキャバクラで働いていた時期があるとお聞きしています。

 

本日は晴天なり
幼いころから仲がよかった晴天さん(左)と妹さん(右)

晴天さん:妹は2歳違いなのですが、「お姉ちゃんが東京に住んでいるから一緒に住みたい」っていう軽いノリで上京してきて、特に目的もなかったので、同じ店で働き始めたんです。夢追い人の私とは違って、妹は意外と現実的なタイプで、キャバクラであっという間に出世して。キャバ嬢になるために生まれてきたの?っていうくらい天職だったと思います。

 

── それはどういうことでしょう?

 

晴天さん:妹は超酒豪なんです。普通は酒に酔ったおじさんを相手にするってなかなかしんどいじゃないですか。でも妹はお酒が好きでたまらないので、そういうのは苦にならない。飲めればいいんです。それで、気づいたら歌舞伎町のお店でナンバーワンになっていて。毎月、ものすごい売上を叩き出していたので、私はすっかり妹のヒモ状態でしたね(笑)。

 

妹は明確な目標があってお金を貯めていたわけではなく、ブランドものが欲しいわけでもなくて。ただただお酒が好きで、キャバクラで働いているというめずらしいタイプだったんです。

 

── そんな仲のいい妹さんと、同じような不思議な経験をしていたそうですね。

 

晴天さん:そうなんです。小さいころから、自分の頭のなかで、5、6人くらいのおじさんが大声でしゃべっているという現象がときどき起きていて。もう、本当にうるさいんですよ(笑)。そんな話をしたら気味悪がられるだろうと思って、ずっと黙っていたんですけど、大人になってからもその現象が続いたので、あるとき意を決して母に相談してみたんです。その1年後くらいに、妹から「実は私もお姉ちゃんと同じ不思議な経験をしてるんだ」って打ち明けられて。妹も母に相談したら、「お姉ちゃんも同じらしいから話してみたら」って言われたみたいです(笑)。

 

── 姉妹のつながりを感じますね…。幼少期の晴天さんは、それに加えて「不思議の国のアリス症候群」と呼ばれる現象でも悩んでいたとか。

 

晴天さん:はい、今振り返るといわゆる「不思議の国のアリス症候群」に近い症状だったと思います。『不思議の国のアリス』の世界の住人みたいに、自分が巨人化して周りが小さくなったように見えるんです。私の場合は、熱が出ると必ずそんな症状が出て。部屋がめちゃくちゃ広く見えたり、自分の体がガリバーみたいに大きくなって足がすごく遠くにあるように見えたり。同じ部屋で寝ている妹やお父さんの身体がぐにゃって曲がっているように見えて、すごく怖かった記憶もあります。今思えば、幻覚っぽい感じだったかもしれません。普段の生活では特に困らなかったのですが、体調が悪いときはしんどかったですね。

 

── 子どものころにその体験は怖かったでしょうね。今はもう症状は出ていないのですか?

 

晴天さん:はい、症状が出ていたのは小さいころだけで、大きくなるにつれ自然になくなりました。同じ経験をした人とお会いしたことはないのですが、ネットで調べた限り、たいていの人は成長するにつれて症状は消滅していくようです。

 

「不思議の国のアリス症候群」は私だけですが、妹も私と同じような不思議な経験をしていたというのは、なにか血のつながりの強さみたいなものを感じます。実際、妹とは子どものころから本当に仲がよくて、姉妹というより親友みたいな存在でした。妹だけがキャバ嬢として頭角をあらわしたときも嫉妬はまったくなくて。むしろ、妹のおかげで下積み時代もちゃんとご飯を食べられていたので、本当に感謝しています。

 

── 晴天さんと妹さんの生活を支えたキャバクラで運命の出会いもあったとか。

 

晴天さん:そうなんです。実は一度離婚を経験しているのですが、その後、勤務していたキャバクラにお客さんとして来た韓国人の男性と知り合って。自分のお客さんになってもらおうと連絡先を交換したんです。最初は異性として意識していなかったのですが、やりとりを重ねていくうちに、すごく誠実な人だとわかって、どんどん惹かれていきました。夫と出会わせてくれたキャバクラには感謝ですね。

 

 

2度の結婚を経験している晴天さんですが、実は10年ほど前にバイセクシャルであることを公表しています。もともとは男女ともに恋愛対象だったそうですが、子どもがほしかったこともあり、2022年にはキャバクラでお客さんとして出会った韓国人男性と再婚へ。今は超やさしい旦那さんと1歳のお子さんと3人で幸せに暮らしているそうです。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/本日は晴天なり