吉本新喜劇のマドンナとして活躍してきたお笑い芸人・宇都宮まきさん。2021年に、後輩でもあるお笑いコンビ・アキナの山名文和さんと結婚。交際や結婚するきっかけとなったのは、お笑いの大先輩であるトミーズ雅さんやハイヒール・モモコさんの存在がとても大きかったそうです。(全3回中の1回)
「ふたり、つき合ったら?」軽いノリのつもりが…

── 吉本新喜劇のマドンナ役として活動されている宇都宮さんですが、吉本興業に入られたきっかけを教えてください。
宇都宮さん:高校3年生のとき、将来の進路を考えたときに、ずっと芸能界に憧れがあったので東京に行こうと思いついたんですけど「大阪でもできる」と、両親の反対があり。芸能人のツテを探すべく両親が遠い知り合いだった、Wヤング・平川幸男さんを紹介してもらい、2000年に弟子入りしました。1年間師匠に付いてNGK(なんばグランド花月)に出入りしているうちに、新喜劇を舞台袖から見て「楽しそう!私も入りたい」と思うようになって。それで翌年、超・コネ入社で吉本新喜劇入りさせてもらいました。
──オーディションなしで入れたのは確かに超コネ入社ですね!そして新喜劇でのご活躍以外にもグラビアに挑戦なさったり、大食いキャラとしても有名ですよね。
宇都宮さん:グラビアは同じ吉本のマジシャン・小泉エリちゃんと一緒にカラオケに行ったとき撮影した写真を彼女がSNSにアップしたら、それが目に留まったようで。雑誌『週刊プレイボーイ』さんから「グラビアやってみませんか?」と連絡が来たんです。それで「そんなの若いときにしかできないしやりたいです!」と即答。撮影現場に行くと、新喜劇とは勝手が違う世界に驚きっぱなしでした。きれいに見えるポーズをとるのって本当に難しくて…たとえば、ハイハイのポーズで首をぐっと上げるんですよ。背筋を伸ばした状態で力を入れるので腹筋も使うし手もしびれるし。涼しい顔してプルプル震えてました(笑)。プロのみなさんってすごいんだなって、身をもって知りましたね。芸人ですが、2回もグラビアをやらせていただいたことは貴重な経験でした。
大食いキャラとしては「私、結構食べれるほうかも?」と自覚したのは高校生のとき。友達と行った回転ずしでお寿司を50皿食べたときでした。芸人になってから、先輩のおうちにご飯を食べに行かせてもらったりするうちに「この子よく食べる」って知られてそれが広まり、大食い要員として番組に呼ばれるようになっていって。大食い対決する番組では串カツを186本食べて「すごい!」と言われました。でも、その後、東京の番組にも呼んでもらったんですけど、「ここで成功して東京で売れてやる!」と、気合を入れすぎて緊張していたせいか、収録当日はわずか6本しか食べれなくて…。みんなに「詐欺師」と言われながら新幹線で大阪に帰りました(笑)。
── それは本領発揮できずじまいでしたね。近年は「結婚願望があるのに、なかなか結婚できない!」というキャラも浸透していたので、新喜劇のみなさんや周りの方も宇都宮さんを結婚させようと積極的に応援されていたそうですね?
宇都宮さん:35歳くらいのときから「結婚したい」とメディアでもずっと言い続けてきたのですが全然、結婚できませんでした。テレビのお見合い企画とかにもみずからエントリーしたくらい結婚願望はあったのですが(笑)。新喜劇の仲間も、気にかけてくれていましたね。また、とくにかわいがってもらっているハイヒール・モモコ姉さんは、私に彼氏がいないから、行く先々で男性が独身とわかれば、「あんた!この子とつき合ったってや」と片っ端から声をかけてくれたりして(笑)。「この子な、吉本の宇都宮まきちゃんって言うねんけど、いい子やからつき合ってよ~」って、お店の方にまで勧めてくれたり。とにかく私を結婚させようとしてくれていたんですよ。
── そんな宇都宮さんが後輩芸人のアキナ・山名さんとご結婚されて大きな話題となりました。今ご家族の日常を発信しているYouTubeチャンネルでは仲睦まじい様子が人気を集めていますが、おふたりの馴れ初めを教えていただけますか?
宇都宮さん:すべてはトミーズ雅さんのおかげなんです。当時、関西の『せやねん!』という土曜日の生放送番組に山名くんのお笑いコンビのアキナと私がレギュラーで出させてもらっていたんです。山名くんは仲のいい後輩であり、共演者という関係でした。それがある日の本番前、みんなでしゃべっていたら、雅さんが「この番組で独身なのは、もうまきちゃんと山名だけやからつき合ったらどうや?」って、軽いノリでおせっかいなオジサンみたいな感じで言ってきて。だから「私は全然いいですよ!」と答えたんです。
私としては、山名くんが「僕は絶対嫌ですよ~」と返して、雅さんが「おー!まきちゃんフラれたなぁ」っていうお笑いのオチの流れだろうと思っていたら、山名くんが「え!僕もいいですよ」って言ったんです。思っていた答えと違ってびっくり。「ボケたりしないんだ!」と思ったんですが(笑)。まあ、ボケで「僕は、嫌です!」と言ったら私が傷つくだろうなと思ってくれたのかもしれません。山名くんの優しさを感じました。
そんな流れで、雅さんも「ふたりともええなら、もうつき合え!」と。ちょうどそのときアキナがM-1グランプリで決勝に行くことが決まっていたときだったので、「M-1終わったらデートや!」と雅さんに言われました。

── 最初のデートはどういうきっかけで行くことになったのですか?
宇都宮さん:ちょうど年末だったんですけど、テレビ番組本番のCM中に山名くんが「僕、犬とふたり暮らしなのにお正月のおせちを2人前買っちゃったんですよ」と私に言ってきたんですよ。「それって食べに来いって言ってるのかな?」ってずっと考えちゃって。本番終わりに「じゃあ、おせち食べに行こうかな?」って言って、おじゃますることに。山名くんが飼っている愛犬と私たちふたりで、ものすごく楽しく過ごして「じゃあまた遊ぼう」っていう感じになって…。
コロナ禍だったので、会うのはもっぱらおうちだったんですけど、料理を作ったりして何回か遊んでいるうちに「すごくいい子やな」と思うようになってきたんです。もともと友達だったこともあり、一緒にいても緊張もないし、楽しいし、おもしろい。なのにこのままずっと遊んでるだけでもなぁ…と思うようになって。「あの、もしよかったらちょっとお試しでつき合ってみない?」と、私から切り出したんです。
「お試し」と言ったほうが断りやすいだろうし、向こうが1歳年上なんですけど、吉本興業では後輩になるので「先輩のパワハラ」と言われても嫌だなと思って。そしたら、「え、つき合います!」って(笑)。そこからつき合うことになり、半年後に結婚しました。
── 半年で結婚を決めるというのもスピーディでしたね?
宇都宮さん:そうですね。芸人同士だったので、結婚したら堂々とデートできるなあ…という思いが強かったんです。あと、実は、つき合ってすぐのころ、もしかして山名くんが結婚を意識してくれてるのかな、と思うような出来事がありました。
婚約も何もしていないのに、ふたりでウエディングフォトを撮ったことがあったんです。知り合いの結婚式のお祝いのお返しに、カタログギフトをいただいたんですが、「これもらったんだけど、山名くんはなにか欲しいものある?」って渡したら、ウエディングの衣装で撮影ができるプランを選んできたんです。「え?これを選ぶってことは?」と…。結婚への意識が俄然あがりました。
撮影の予約をしたときも、撮影スタジオの方につき合ってることがバレたらいけないと思って、「これはちょっと友達の結婚式で、コントで使うやつを撮るんですよ~」なんて言いながら、和装で撮影しました。私たち結婚式はしていないんですけど、撮影で結婚式を疑似体験できましたね。でき上がった写真を選んだときも「いいな」と思う写真がふたりとも全部一緒で、「ここまで感覚が合うって…うれしい!」って思いました。