同じような病気の子が少しでも救われたらうれしい
── 小林さんは小学生の学童指導員をしながら活動を続けていらっしゃるんですよね?
小林さん:はい。放課後クラブの学童指導員になって8年目です。私自身、小学生、中学生のころは孤独を感じて悩んできましたが、口唇口蓋裂の患者が500人に1人という割合でいるというデータがあるので、つまり、ひとつの学校にひとりはいるはずですよね。だから、私の存在で同じような病気の子や誰かが救われるとか、「こういう子もいるんだ」って認知してもらえるだけでもうれしいな、という気持ちで学童指導員の仕事を選びました。働き始めると、症状の程度は違うにせよ、やはり同じ病気の子を毎年のように見かけます。
学童では子どもたちから「先生の顔、なんでこんなふうになってるん?」と言われることもあります。そのときは病気のことを説明し、「同じような病気の子がいても、仲よくしてあげてな」と話しています。それで口唇口蓋裂の子も学童に通いやすくなったと保護者の方からも言っていただき、やりがいがある仕事だと感じて続けています。
ブログなどで世間に対して口唇口蓋裂のことを発信するのも大切なのですが、まだ固定概念がない子どもたちに正しく伝えることで、その子たちが大人になったときに、もっとこの病気に対する先入観や悪いイメージがなくなって、やさしい社会になってほしいという願いを持っています。
取材・文/富田夏子 写真提供/小林えみか