おこづかいは渡さなかった

── 思春期の子どもを持つ親御さんたちは、お子さんとの距離の取り方に悩むことが多いようです。モモコさんは大人になってからもお子さんたちといい関係を築いていらっしゃいますが、かかわり方で意識してきたことはありましたか?

 

モモコさん:大人になってから急に仲よくしようと思っても、なかなか難しいじゃないですか。だからわが家は小さいころから、そのときどきで、できる形で、とにかく繋がり続けることを意識してきました。

 

特定の組み合わせだけでなく、どの子ともフラッと一緒に出かけたり。たとえば受験で家族旅行に参加できない子がいたら、ほかの家族は旅行に行くけれど、「あなたは来年一緒に行こうね」と約束して。そうやって、それぞれの事情を汲みながら、関係にぽっかり空白期間を作らないようにしてきたことが、今の良好な関係に繋がっているのかもしれません。

 

── 芸能人のお子さんは、生まれながらにお金に恵まれているだけに、金銭感覚が狂いがちだという話もよく聞かれます。お子さんたちにお金との向き合い方をどのように教えてこられたのでしょう?

 

モモコさん:お兄ちゃんたちには基本的におこづかいをあげず、学費や部費、美容院代や資格取得などの費用以外は、基本的に自分のバイト代からまかなうようにさせていました。自分で稼いだお金なら大事に使うし、それが自信にもなりますから。娘はバイト禁止の学校だったので、欲しいものがあるときは「プレゼン方式」。私が却下したら、今度はパパや祖母に言うなど、なかなか賢いんです。交渉術も身につき、娘とのコミュニケーションにもなっていたようです。

 

私は常にお金の重みを実感できるような話をするようにしてきました。たとえば、大学生の子どもたちが終電に乗り遅れてタクシー代が6000円かかったら「時給1000円だとしても6時間働かなあかんねんで」と具体的に伝える。そして、子どもたちには「お金はいっさい残さないから」と伝えてます。私の稼いだお金は自分で使う。死んだあとは、ブランド品は娘に、それ以外はお兄ちゃんたちに。売るのは自由やけど、お金は残さへんよと。それがお互いの幸せのためだと思っているんです。

 

 

60代で3人の子どもを育て上げたモモコさんですが、40歳のときに24歳で患ったメニエール病が再発。さらに54歳のときには帯状疱疹を発症し、出産や骨折以上の痛みに見舞われたそうです。帯状疱疹は発症から7年経った今も痛みを感じることがあるそう。それでも、常に楽しいことを見つけ、そちらに意識を向けられるようにしてきたそうです。そうしたマインドが還暦を過ぎてもエネルギッシュなモモコさんを支えているのかもしれませんね。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/ハイヒール・モモコ