医療費の抑制のためにも情報発信を続けたい

── 生活習慣の改善では、どんなことに取り組まれたのでしょうか。

 

假屋崎さん:とにかく歩くことを心がけました。移動は電車やバス、タクシーは使わず、歩ける距離はすべて歩く。銀座に構える花教室兼事務所に行くときも、新橋駅で降りて歩きました。いま住んでいる鎌倉の家は、敷地が1000坪以上ありますから、犬を連れて庭を散歩するだけでも、かなりの運動になるんです。

 

食事は量を調整するだけでなく、「質」にもこだわるようになりました。オーガニックや無農薬の食材、化学肥料をできるだけ使わないものを選び、調味料もできるかぎり自然なものを中心に。コーヒーや紅茶、日本茶はすべて無農薬のものを取り寄せています。卵は平飼いのもの。一般的な卵の2、3倍は値段が高いのですが、健康には代えられませんから。もちろん市販の食材が悪いというわけではありません。でも、私自身はできる限り、自然に近いものを選びたいと考えているんです。

 

── 糖尿病は完治しない病気とも聞きます。現在の体調はいかがですか?

 

假屋崎さん:おかげさまで以前よりずっと体調もいいし、体重も20キロ減をキープできています。とはいっても、定期的に病院に通って合併症が出ていないか検査も続けていますよ。インスリンの注射はしていませんが、薬はずっと飲み続けていますね。

 

── ブログでは、体重の変化や治療の様子、食生活まで包み隠さず書かれていますね。糖尿病についてのイベントやセミナーで登壇されるなど、啓発活動にも積極的です。

 

假屋崎さん:糖尿病になる人をひとりでも減らすことができれば、医療費の抑制にもつながりますよね。いまの日本は、医療費が高騰しているじゃないですか。そうした問題に歯止めをかけるためにも、まずは一人ひとりの健康意識を高めることが何より大切だと思っているんです。私の経験を発信することで、食事や生活習慣の見直しがどれほど大きな変化を生むのか、知ってもらえたらいいなと。多くの人が糖尿病を予防できるように、これからも発信を続けていきたいと思っています。

 

 

2003年に糖尿病と診断されて以来、食生活などを見直し、健康管理に努めてきた假屋崎さん。ピーク時から20キロ減の体重をいまもキープしています。現在は鎌倉に住まいを移転し、大自然の中でノビノビと創作活動に励んでいます。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/假屋崎省吾